日本シリーズ出場は横浜時代を含め6回目となるプロ23年目の谷繁元信、40歳。
開幕直前、谷繁はインタビューでこんな話をしてくれた。
「いかにバッテリーでのミスをなくすか。
バッテリーでゼロに抑えることができれば負けることはない」
さらにシリーズ進出を決めたヤクルトとのCSファイナルステージでは、
敗れた2試合の決勝点につながる局面が、いずれもバッテリーでのミスだったことを谷繁は明かしてくれた。
「一つは河原が畠山に打たれたタイムリー。もう一つが山井が同点に追いついた直後に出した先頭バッターへのフォアボール。ああいうのはバッテリーのミスなので、これを無くしていけば、(ソフトバンクと)良い戦いができると思います」
谷繁は日本一になったのが2回。(08年横浜ベイスターズ、07年中日ドラゴンズ)
これまで5回の出場で3回負けている。
「そりゃ全部勝ちたかったですけど、何とかねえ、今年は勝ちたいですね。
でも僕一人の力じゃどうにもならないんで、やっぱり全員で向かっていかないと、勝てないんでね」
こうして谷繁元信の6度目の日本シリーズが幕をあけた。
12球団随一の攻撃力を誇るソフトバンク。中でも飛びぬけた数字が盗塁数、その数何と180。
第一戦、その実力を谷繁は目の当たりにした。3回、4回と2イニング続けて盗塁を許してしまう。
さらに同点に追いついた直後、谷繁が恐れていた痛恨のバッテリーミス。
同点に追いついた直後の7回、先発のチェンが長谷川に四球を与えランナー1塁。
だがこの男に3度目は通用しなかった。衰え知らずの強肩で二盗を封じ、ガッツポーズ。得点を与えない。
続く第二戦も盗塁を封じ、球界ナンバーワンキャッチャーたる所以をソフトバンク攻撃陣に見せつけた。
チームは2試合連続で延長戦を制し、2連勝。日本一へのシナリオは着実に前へ歩みを進めていた。
ところが・・・
本伽地、名古屋に戻るとまさかの3連敗。特に深刻なのが打撃だった。
3試合で奪った得点はわずかに3点、さらにチーム打率は5試合を終え1割台と低迷する。
必死にピッチャーを引っ張ってきた谷繁も、ポストシーズンでここまで36打席ノーヒットに苦しんでいた。
「もう2試合勝つしかないので、勝てるように、勝つように頑張ります!!」
そう話し、前を向いた谷繁元信。
まさに崖っぷちのドラゴンズ。果たして運命の第6戦、勝負の行方は?
そして谷繁の3度目の日本一に望みをつなぐことはできるのか――――