10月22日 第30節・大宮戦。終了後の監督会見で、ストイコビッチ監督はこう語った。
「わずか1、2分でゲームを落とすところだった。が、永井と金崎の交替がチームに勢いとスピードをもたらした。今日はカードを有効に切って勝負できた」
そして、切り札としての務めを全うした金崎も、確かな手応えを掴んでいた。
「自分自身の気持ちもあのグッと優勝するためにしっかり貢献したいっていう気持ちになりましたね」。
チームに貢献する。選手として当たり前のことが、今シーズンの金崎には出来なかった。
4月24日 浦和戦で左ハムストリングス肉離れ。一度は回復するも、戦列に復帰することなく再び練習でケガ。結局、金崎はトータル4ヶ月をリハビリに費やすこととなった。
戦列復帰は、8月28日甲府戦。金崎はそこから途中出場の切り札として起用される。しかし、金崎にはある思いがあった。「あのやっぱサッカー選手ですから、先発で出たいって気持ちは常にもっていますし」(金崎)
そして、ラスト5試合となった、第30節大宮戦。金崎には密かに期するところがあった。「あの時は、こう累積かケガで誰かが抜けてて」「『これは来たな』って思いながら、自分的には『先発だから気合入れてマジ頑張ろうって』でも、まあ違ったんで」(金崎)
期待とは違う起用。それでも、金崎は自らの務めを全うすることに全力を注いだ。
転機となった、その大宮戦。前半早々に先制したグランパスは、しかし、後半に入り2分間で2失点。
勝利を逃すことは、即、優勝戦線脱落を意味する。指揮官は迷わず、カードを切った。金崎と永井の同時投入。そこから流れが変わる。
クリアボールをトラップした金崎は、そのまま持ち上がり、クロス。ケネディのシュートは枠を捉えきれないが、ゴール前へとボールが動き始めた。切り札投入から7分後、楢崎のロングフィードをケネディ。
金崎が繋ぎ、ラストは玉田。これで同点。最後はケネディがPKを決め、辛勝。この試合でグランパスはチームとしての手応えも掴んだ。
「やっぱこうベンチと先発ってどうしてもこうモチベーションの差じゃないですけど」「なかなか一つになれなかったりするところがあったりするんですけど」「あの時はまあベンチの選手も含めて皆で勝ち取った勝利だと思うんで」「その後の試合に対してグッとチームとしてまとまってぐっと出来た」(金崎)
続くセレッソ戦も、切り札投入からゲームを決定付けたグランパス。切り札投入が、勝利の方程式。スタメンとベンチが一体となって、最終戦に挑む。
首位・柏と勝点1差で迎えた最終戦。舞台は、未勝利の地、新潟。グランパスは、後半9分、玉田のFKが決勝弾となり、名古屋1-0新潟。勝利するも、優勝には手が届かず、最終成績・リーグ2位。