放送内容

2012年09月22日(土)放送

大学日本一決定戦インカレ水泳 中京大スイマーの挑戦

カテゴリー:野球

ロンドンオリンピックで戦後最多のメダルを獲得した、ニッポン競泳陣。
あの感動と興奮から一ヶ月。再び激闘が繰り広げられる。
「大学日本一決定戦 インカレ水泳」。

松田丈志、冨田尚弥など、世界で活躍するスイマーを輩出してきた中京大学水泳部。インカレ水泳では近年、男女ともに総合優勝を果たすなど目覚ましい活躍を見せている大学水泳界の名門。
そして今年、一際強い思いでインカレに挑むのが、自由形の伊藤健太(4年)。去年のインカレでは、100mで日本歴代2位となる好タイムをマーク。一躍、日本の自由形をリードするトップスイマーとなった。しかし、4月のオリンピック選考会。代表入りを目指した100mで、まさかの予選敗退。ロンドンへの切符を逃した。
「やっぱり自分の力を過信していた、油断していた部分もあった。自分の甘さであり、自業自得かなと思う」
オリンピック出場を逃し、水泳を続けるかどうか思い悩んだ。しかし、テレビを通して目に焼きついたニッポン競泳陣の活躍が、伊藤の心に再び火をともした。
「世界と戦いたいという気持ちは強いので、もう一回見返すじゃないですけど、インカレで結果を出して、やっぱり自由形は伊藤健太だと言われるような選手になりたい」

そしてもう1人、初めてのインカレに挑むのが、今年中京大学に入学した日高郁弥。高校時代には、将来のエース候補が出場する世界ジュニア選手権で金メダルに輝くなど、日本競泳界期待の選手だ。持ち味は、小さな体から繰り出す速くて力強いキック。特にレース後半に見せる猛烈な追い上げは、日高の代名詞である。
オリンピック代表入りを狙った選考会の400m自由形。自己ベストで優勝するも、派遣標準記録に届かず、代表入りを逃した。
「選考会のレースは自信を持って臨めたレースだったが、気持ちがはやって、不甲斐ないレースをしてしまった。インカレではオリンピック代表選手たちを見返して、てっぺんを狙いたい」

いよいよ幕を開けたインカレ水泳。
日高が優勝を狙う400m自由形決勝。ロンドンオリンピック代表の外舘祥や、この種目2連覇中の宮本陽輔など、強豪が顔をそろえる。
レース前半、日高は積極的な泳ぎができず、200mの折り返しは、トップから1秒半を離され5位。追いかける苦しい展開。それでも、ラスト50m。トップと1秒26差の4位で折り返した日高。ここから持ち味であるラストスパートで追い上げる。
ラスト50mのラップタイムはトップ。驚異的な追い上げを見せるも、わずかに及ばず2位。
自己ベスト更新、そして優勝はできなかったが、初めてのインカレで400mと200mの2種目で堂々の2位、表彰台に登った。

オリンピック代表選考会での悔し涙から5ヶ月。復活を誓う 伊藤健太の戦いが始まる。
50m自由形決勝。ライバルは、日本記録保持者の中央大学 塩浦慎理。
レース序盤から伊藤が抜け出しレースを引っ張る。中盤以降もそのスピードは落ちない。
最後までトップを守り、優勝。タイムは「22秒05」の日本新記録。
「素直に嬉しい。必ず日本新記録は出ると思っていた」。

伊藤の勢いは更に加速する。続く400mリレー決勝。トップから1秒以上離され、3番手でスタートしたアンカーの伊藤。じわりじわりとトップとの差を詰めていくと、ラスト50mで抜き去り、1位でフィニッシュ。見事逆転優勝に導いた。
その伊藤のタイムは、何と47秒78。リレーの引継ぎタイムのため、参考記録にしかならないが、ロンドンオリンピックでは銅メダルに相当する、驚異的なスピード。最終日に行なわれる100m自由形で日本人初の47秒台への期待が高まった。

迎えた運命の100m決勝。日本記録の更新、そして日本人初となる47秒台へ。世界を見据えた伊藤の挑戦が始まる。スタートから飛び出した伊藤。50mを日本記録を上回るタイムで折り返す。その後もトップを守り、1位でフィニッシュ。タイムは自己ベストを更新する48秒70の大会新記録。圧倒的な力を見せつけ、50mと100mの2冠を達成。100mでの日本人前人未到の47秒台は、次なる舞台へと持ち越された。

伊藤「100mで日本記録が出せなかったことが悔やまれるが、自分自身これが限界だと感じていない。自分が自由形を引っ張っていくんだという強い気持ちを持ち、それが4年後のオリンピックにも繋がってくると思うので、一つ一つの大会で代表になれるように頑張って成長していきたい」
日高「初めてのインカレは悔しい大会だった。悔しいけど、楽しかった大会。来年4月の日本選手権では、絶対に派遣標準記録を切って、表彰台の1番をとりたい」

それぞれの思いを胸に戦ったインカレ。日の丸を背負い、世界と戦う その時まで・・。
彼らの挑戦は続く。