Fリーグ6連覇、オーシャンアリーナカップ3連覇、そして全日本選手権初制覇を果たし、今シーズン3冠を達成した、名古屋オーシャンズ。
そんな最強軍団のゴールを守るのが、川原永光、34歳。公式戦、全試合に出場し、圧倒的なセービング力でゴールを守るオーシャンズの守護神である。
川原の持ち味はコーチング。試合中は常に声を出し、味方選手を動かす、いわばフィールド上の監督だ。
そんな川原がフットサルと出会ったのは19歳の時だった。当時所属していたサッカーチーム、ジュビロ磐田ユースから、身長が足りないという理由でトップチームへの昇格を果たせなかった。そんな時にフットサルと出会った。
「フットサルならば身長は関係ない。大好きなフットボールを続けられる―」
その後フットサルを学びに本場・ブラジルへ渡り、武者修行。23歳で初めて日本代表に召集され、それ以降、フットサル日本代表の守護神として活躍を続けてきた。
昨年行われたフットサルワールドカップ(タイ)では日本フットサル史上初のベスト16入りに大きく貢献した。
チーム最年長、34歳の川原の原動力となっているのは家族だった。「自分の姿を見て、子供たちが誇りに思ってくれれば―」
そしてもう一つ、精神的な支えとなっているのが、趣味の釣り。オフがあれば月に2回は行くほど、腕前はかなりのものだという。「何も考えずにいられる―」
常に最前線で戦ってきた男の、つかの間の急速の時だった。
そして今シーズン最後の大会、全日本選手権を迎えた。決勝戦は地域リーグNo.1の呼び声高い「フウガすみだ」を相手にオーシャンズは苦戦を強いられる。常にリードを許す展開で、何とか追いつくも延長戦、さらにはPK戦へと突入する。
互いに3人ずつ決め、オーシャンズ5人目のキッカー、リカルジーニョが決め4対3。これを止めればオーシャンズの優勝が決まる。
とてつもないプレッシャーがかかる中、川原が見事なファインセーブ。オーシャンズを全日本選手権初優勝へと導いた。