「To Be a Champion.簡単なことではないが、我々には可能だ」
(ストイコビッチ監督)
今年も新たなシーズンが幕を開けた。
ストイコビッチ体制6年目のグランパスは、3シーズンぶりの王座奪還を狙う。
開幕スタメンには元日本代表の矢野・ヤキモフスキーら新加入選手が名を連ねる一方、ルーキーの牟田がピクシー政権では初めてとなる新人開幕スタメンを勝ち獲った。
試合は前半36分、藤本の折り返しに飛び込んだのは闘莉王。
これが相手オウンゴールを誘い、グランパスが先制する。
しかしその後は一転して磐田ペースで試合が進む。
後半26分、ドリブル突破からゴールを奪われ同点。開幕戦、白星とはならなかった。
「先制したまでは良かったですけど、後半は守りばっかりになって。
負けなくて良かったなって感じです」(楢﨑正剛)
続く第2節。敵地に乗り込んだグランパスは、序盤から積極的に仕掛ける。
しかし浦和の堅い守りの前に、チャンスを作れない。後半9分、浦和に先制を許してしまう。
最後まで攻撃の形を作れなかったグランパス。開幕から2試合を終え、決定力不足を露呈した。
チームに漂う危機感。選手・スタッフが集まり、緊急ミーティングが行われた。
「前で点取れてないし、キープも出来てないから。そういう意味ではすごい責任感じます」(藤本淳吾)
「どんな形であれ、とりあえず結果が欲しいので。次の試合は結果が欲しいなと思います」(玉田圭司)
この状況を打開すべく、指揮官が早くも動いた。
「闘莉王はDFとして後ろでプレーするのが本来の姿だが、今の我々には変化が必要だ。
現時点でのベストなストライカーは闘莉王だ」(ストイコビッチ監督)
昨シーズン2年連続得点王のエース・ケネディが持病の腰痛でシーズンの半分を欠場。
代わりにフォワードに入ったのは、本来ディフェンダーである闘莉王だった。
本職ではないものの、1試合4得点を挙げるなどチーム2位となる9ゴールを叩き出した。
しかし、リスクもある。
去年闘莉王が抜けたディフェンスラインは安定感を欠き、失点数が大幅に増えた。
本来の形を崩してでも、闘莉王に頼らざるを得ない現状。
「理想の形ではないと思うので。早く自分たちの戦い方というのを取り戻したい」(小川佳純)
何としても勝ち点3が欲しい3節の甲府戦。
グランパスは1トップの闘莉王にボールを集め、攻撃の形を作っていく。
持ち前の強さと高さで、何度もチャンスを演出。甲府ゴールに襲い掛かる。
そして両チーム得点のないまま試合終了間際、プロ初出場のルーキー本多が劇的な決勝ゴール。
開幕3戦目で、今シーズン初勝利を掴んだ。
「今日の勝利は精神的な意味でも必要だったし、
今日の勝利によって自信を取り戻せると信じている」(ストイコビッチ監督)
失った自信を取り戻した時、王座奪還への道が開けてくる。
次なる戦いは今月30日、ホーム瑞穂に湘南を迎え撃つ。