男は今シーズン苦しんでいた。
1勝という大きな壁・・自ら道を切り開くしかなかった。
中日ドラゴンズ・大野雄大
大野雄大は、プロ3年目で初めて開幕一軍をつかんだ
任された開幕2戦目という大役、気持ちは自然と高ぶっていた
迎えた開幕2戦目
独特の緊張感の中、ストライクが入らない
立て直そうとするもコントロールが定まらなかった
3回4失点でマウンドをさった
「すべてにおいて本当にイチから見直していかないとこのまま消えてしまうので」
初登板から2日後のナゴヤ球場
その練習途中、今中投手コーチの元へ歩み寄る。
ブルペン入りを直訴したのだ。
リリースポイントや指先の感覚を確かめるために大野は、
週一回だった、ブルペン入りを増やすことにした。
しかし、その後も試合は作れず、開幕から3連敗
どうすれば結果を残すことができるのか?
3試合のデータを見ると、変化球105球のうち、ボールがおよそ6割。
中でもボール球とはっきりわかる変化球が多かった。
大野の持ち味は150キロ近い威力あるストレート、
ストレートをいかすためにも変化球の精度が必要不可欠。
変化球をうまく使わなければ、シーズンを戦い抜けない。
ひたすら己の課題と向き合った。
時間は待ってくれない、すぐに次の試合がやってくる
迎えた4試合目の横浜戦
立ち上がりから変化球が低めにきまり、相手に的を絞らせなかった。
変化球でストライクがとれたことでストレートをよりいかすことができた。
大野に勝ちはつかなかったが、5回1失点
しっかりとゲームを作り、ようやく自信の持てるピッチングをみせた。
開幕から、ひたすらもがき続けた
大野はこの一か月間をどのように感じているのだろうか?
「本当にいかに一軍で活躍っていうか、やっていくことが大変というのがわかった1か月でしたね。本当に中途半端な考えじゃダメというか、中途半端な考えをしたワケじゃないんですけど、追求しないと本当に、とことんしないと勝てないし、やっていけない世界だと感じました。」
開幕から一か月。
下位に低迷するチームを救うためには間違いなくこの男の復調がカギを握っている
味わった挫折を糧に、大野雄大。3年目のシーズンはまだこれからだ。