【菰野】
プロ5年目、オリックス・バファローズの西勇輝。
高校時代は三重大会を制し、チームを甲子園へと導いた。
そして、おととしプロ入りを果たした中日ドラゴンズの関啓扶。
彼もまたMAX149キロのストレートを武器に、その名を県内に轟かせた。
そんなピッチャーを近年プロの世界に輩出しているのが、県立・菰野高校。
春にはセンバツに出場を果たし、5年ぶりに甲子園の土を踏んだ。
この夏の優勝候補大本命と言っても過言ではない。
チームを支えるのがエース山中亨悟。
167センチと上背はないが、伸びのあるストレートとキレのある変化球を自在に使い分ける。
そして何より、抜群の制球力が彼の持ち味。
「もう一度甲子園という舞台に立つために今年の夏もう1度勝って、甲子園で1勝挙げたいです」
そしてもう1人、山中と共にマウンドを守るのが同級生の浦嶌颯太。
浦嶌最大の魅力はストレート。183センチの長身から投げ下ろす速球は、MAX151キロ。
「誰にも打たれないようなストレートをばんばんキャッチャーミットに投げ込むということが、
僕の1番の良いところだと思うので。それを夏の大会でもどんどん続けていきたいです」
2人は共に1年生の春からベンチ入りし、チームを支えてきた。
実力を認め合う良きライバルである。お互いを意識することで、共に成長してきた。
山中:「グラウンド内ではライバルと思って、グラウンド外では友達です」(当時1年)
浦嶌:「試合とかブルペンでは負けたくないです」(当時1年)
2人で挑む最後の夏。
浦嶌:「山中にはずっと負けているので、結果で。
夏でしっかりと山中の今の結果を越えられるようなピッチングをしたいです」
山中:「ライバル心を持って、チーム内で戦ってきたので。力を合わせて甲子園行きたいです」
【津商業】
去年の秋県ベスト4、今年春には準優勝と着実に力をつけているのが、今大会のダークホース津商業。
創部初の甲子園出場を目指す。
「今現在持っている力は間違いなくあると思います。非常に楽しみです」(宮本監督)
チーム躍進の原動力となっているのが、投手陣の継投。
エースナンバーを背負う、3年生の森山拓磨。
MAX140キロのストレートで押す、2年生の岩本祐斗。
そして同じく2年生、抜群のコントロールを持つ矢口裕也を中心に守り勝つ。
そんな中2年生の矢口はこの夏、ひときわ熱い想いを抱いている。
中学時代には全国ベスト8に進出するなど、輝かしい実績を持つ。
その後県内の強豪校に進学するも、チーム内での人間関係がうまくいかずに半年で中退してしまう。
「辞めた時は野球をやりたいという気持ちだったので。今やれているという事が幸せだなと思います」
去年津商業で1年生からやり直し、再び野球をするチャンスを掴んだ。
自分を輝かせてくれたチームのためにも、持てる力を出し尽くす。
「紆余曲折ありながら。
彼が3年間苦労してきたものが、発揮できたらなと矢口については考えています」(宮本監督)
栄光と挫折を味わってきた野球人生。
規定によって、18歳になる今年が最後の夏になる。
「やっぱり最後なので、絶対に甲子園に行って。悔いのない夏にしたいです」