【東邦】
春夏合わせて42回の甲子園出場を誇る 名門・東邦高校
今年の持ち味は、キャプテン松井聖(しょう)を中心とした、強力打線
1番から5番打者の通算ホームラン数は、なんと170本以上。夏の大会、優勝候補筆頭と目されている。
ところが、その強打の東邦が、春の大会で、まさかの3回戦敗退。5年ぶりに、夏のシード権を逃した。
「松井主将)あの時はチームのメンタルの弱さを痛感した試合で自分たちもまだまだ成長しなきゃいけないってのがよく分かった。力が足りない事に対し、すごく悔しい思いをしました。」
このままでは甲子園に届かない・・・
春の屈辱を胸に、来る日も来る日も打撃練習に力を注いだ。
すると、成果が形となって表れる。
去年、甲子園春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭に、なんと13点を奪い完勝。その強さは、開幕2週間前にも健在。甲子園常連校・智弁和歌山に19安打3ホーマーの猛攻。驚異的な打力を見せ付けた。
春の敗戦以降、41試合で負けたのはわずか3試合。打の東邦、夏への準備は整った。
「松井主将) (夏の大会は)ノーシードなので、どこのチームが来ても強豪と戦うという気持ちで気を抜かずに、一戦必勝で頑張っていきたいと思います。」
【春日丘】
並みいる強豪を押しのけ春の愛知王者に輝いた、
春日丘(はるひがおか)高校。
実は彼ら、中学時代 補欠だった選手が多く集まる雑草軍団。
去年の秋には、何度もコールド負けを味わった。
そんな弱小チームをガラリと変えたのが、
就任1年目の若き指揮官、齊藤真監督(32)。
「人間力をつけようということで、ひとつの事を一生懸命やろうということからチームは始まりました。」
新たに取り組んだのは、ひたすら選手の内面を磨くこと。
部活は、掃除から始まるのが春日丘の日課。
「お友達なんで便器と」
学校周辺の掃除も率先して行う。助け合いの精神がチームワークを高めた。
さらに、100人近くの部員を前にして日々感じた事をスピーチ。
「草のにおいが強くなってきて」
「グローブたたいたりしていると冬と違ってか革が柔らかくて」
度胸を付けるだけでなく、常日頃から感受性を養うことで洞察力を育んだ。
また、いまや恒例となったあいさつ運動で、人間力の基礎を築き上げた。
こうした精進が、花開いた春。愛知大会決勝、秋にコールド負けをした相手に、9回ツーアウトから逆転サヨナラ劇をやってのけた!!
「荒木主将) 次は甲子園で1勝するというのをチームで(目標に)掲げたので、春同様人間力というのをやっていくんですけど全員でレベルアップしてまた夏にのぞみたい。」
人間力野球で、創部初の甲子園へ!
“春”日丘が狙うのは、たった一つの“夏”の王座。
【名南工業】
愛知の公立高校で唯一、シード権を獲得した 名南工業。
春 ベスト4にまで上り詰めた、その立役者は・・・
「坂野太一です、坂野竜一です。双子です。」
名南工業、投打の主軸・坂野(ばんの)兄弟。
二人は2年生ながら、
打ってはクリーンアップ、
投げてはダブルエースの重責を担っている。
二卵性の彼ら。
違いがあるのは体格だけではない。
兄・太一がサイドハンドで打たせて取るピッチングに対し、
弟・竜一はオーバーハンドで三振を奪うタイプ。
そんな2人には、ある共通点が・・・。
「兄・太一)コントロールは負けない。打率は絶対に勝つんで!」
「弟・竜一)野球面で負けたくない」
互いに負けず嫌い。
その性格が、良きライバル関係を生み出している。
時間を見つけては、一緒に汗を流し
試合のビデオを見て意見を聞き合う。
二人とも、野球が上手くなりたい!その一心で・・・。
「弟・竜一)双子だったら二人でやれることがいっぱいあるんで」
二人三脚で歩み続けること10年。
今見つめるのは、あの憧れの舞台。
「兄・太一)甲子園・・・行ってみたい」
「弟・竜一)行けたらうれしいですけど、まずは一個ずつ勝っていきたい。」
想いは同じ・・・。
名南工業・坂野ツインズ、
切磋琢磨する2つの星が、この夏輝きを放つ。