放送内容

2013年08月25日(日)放送

高校野球 三重vs済美・安樂 激闘の裏側

カテゴリー:野球

(夏の甲子園優勝の瞬間)
前橋育英初出場初優勝!!
高校球児憧れの舞台。
今年も様々のドラマが誕生した。

彼らもまた、そのドラマを彩った主役たち。
三重代表、三重高校。
大観衆をどよめかせた裏には、
チーム一丸となってツワモノに挑戦する物語があった。

三重大会、
ノーシードながら
4年ぶりに頂点に立った三重高校。
彼らを甲子園で待ち受けていたもの、
それは、全国でも最たる試練。

三重高校・山岡主将)
「引いた瞬間2度見してしまったんですけど」

初戦の相手は、
センバツ準優勝校・済美(さいび)。

立ちはだかるのは、大会ナンバーワン右腕・安樂(あんらく)。
県大会で157キロをたたき出した豪腕は、
甲子園最速記録の更新が期待されていた。

山岡主将)
「注目される試合になるじゃないですか
その中で僕たちが勝ったら注目されると思うとすごい楽しみです」

“打倒、安樂!!”
対戦が決まってからは、
ただひたすら速球対策に明け暮れた。

マウンドより3メートル前にピッチャーを立たせ、
速いボールに慣れさせた。
中には安樂のフォームを真似て投げるコーチも・・・。
さらに、

今まで使った事のなかったバッティングマシンを
急遽取り寄せた。
選手はとことん速いボールを追い続けた。

三重高校・長野選手)
「どんどん練習していくうちに速い球にも慣れてきたんで」
三重高校・小川選手)
「まっすぐを打つことに関しては大丈夫だと思います」


甲子園出場を決めた直後のアンケートで、
対戦したい相手に“安樂”を挙げる選手がいた。
1番バッターの濱村。
三重高校・濱村選手)
「どうせなら有名な騒がれているピッチャーとやりたいというのがありました」

打線の火付け役として活躍してきた濱村は、
これまで幾度となくチームに勢いをつけてきた。
濱村選手)
「勝ったらヒーローっていう気持ちでみんな全員楽しみにしてるんで
チーム一丸になって全員で戦っていきたいです」


4万7千人、超満員の視線が注がれる中、
戦いが始まった。
安樂攻略へ―
トップバッター濱村が打席に立つ。

濱村選手)
「初回はたぶん安樂君が自信を持っているまっすぐは多投してくると思って」

狙い球はストレート。
実況)
「151キロ、しかしヒットになります」
濱村選手)
「打った瞬間、球場がどよめいたんで気持ちよかったです」

バッターは、2年生の3番・長野。
実況)
「変化球をたたきました!2年生エース安樂からまずは1点を取りました、三重高校」
長野選手)
「まっすぐのタイミングで振り出してスライダーがきて体がうまく反応できました」

安樂の出鼻を挫き、動揺を誘うと・・・
制球力にも定評がある豪腕がまさかの暴投。
2点目を奪う。

しかし、
島田に投じた4球目。
実況)
「ストレート155キロをマークしました。甲子園最速タイ!!」
これが注目される所以。

3回、済美に逆転を許した三重。
安樂の力に圧倒される。
実況)
「外のボール154キロ!!」

三重打線は、2回以降ゼロ行進。
スポットライトが当たるのは、怪物・安樂。

点差は7点、残すは1回。
安樂攻略へのラストチャンス。
この日、3三振の4番・宇都宮が反撃の狼煙を上げると、
続く島田もストレートを捉え、安樂から初の連打。

打席には、ここまで2安打の6番・小川。
実況)
「外野がずっと前に出てきます・・・捕れません!!」
小川選手)
「どうにかしてあのランナーを返そうと思っていたんで
その気持ちがあそこに落としてくれたんだと思います」

安樂対策でストレートに自信を掴んでいた小川。
気持ちで運んだ3本目のヒットで1点を返す。

さらに、満塁のチャンスで代打・山口。
150キロのストレートを打ち返し、9対4。
徐々に安楽を追い詰めていく。

なおも満塁。
3安打の1番・濱村に打順が回る。
濱村選手)
「みんながつないでくれたチャンスだったので
支えてくれた仲間だったり思い浮かべてバットに願いを込めて打席に入りました」

その初球。・・・鋭い当たりもファール。
続く、2球目・・・
実況)
「レフト下がる・・・捕れません!!
9-6 ついに3点差!甲子園の空気が変わってきました!!」
仲間との想いが詰まった2点タイムリー。
濱村は安樂から、なんと4安打を放つ。

さらに、1点を返し2点差に詰め寄った三重。
ツーアウト2塁。
先制スリーベースの2年生・長野。
長野選手)
「先輩が全部つないでくれて自分に回してくれて
今までやってきた中で一番緊張してたし、ワクワクもしたし・・・」
実況)
「スリーアウト。
センバツ準優勝校の済美を最後苦しめた三重高校。
9回意地の5得点は光りました」

あと一歩、届かなかった・・・。
それでも、あの怪物・安樂から11安打7得点。
チーム一丸で挑んだ成果は、彼らを輝かせていた。

山岡主将)
「辛いときも楽しいときもいつも周りには僕の周りには
たくさんの仲間が居てくれてその仲間に感謝したいです」
長野選手)
「先輩たちに申し訳ないし、最後なんで・・・
すごい悔しいというのが一番なんで来年もう一回自分達の代で帰って来たいです」


翌日
三重高校野球部は、すでに動き始めていた。
3年生はこの日で部活を引退。
野球を全うした達成感を胸に・・・
濱村選手)
「今思うとあっという間でしたけど、きつい冬練にも耐えてみんなで
最後の夏ああやって最高の舞台で最高の仲間と試合が出来たのはこれからの自分の宝物です」

3年生の魂は今でもグランドに宿っている。
その想いに後押しされながら、新チームは走り始めた。