放送内容

2013年08月25日(日)放送

フィギュアスケート鈴木明子 現役ラストシーズン、ソチ五輪への思い

カテゴリー:野球

バンクーバー五輪から早くも4年、次なる舞台ソチ五輪の開幕まで半年を切った。熾烈な代表争いが予想される女子フィギュアスケート。今シーズン限りでの現役引退を表明した鈴木明子、バンクーバーに続き2度目の五輪出場を目指す。

◆バンクーバーからの4年間
五輪という最高の舞台で8位入賞を果たした鈴木。しかし、翌2010-2011シーズンは一転、全日本選手権で表彰台を逃し、世界選手権出場を逃すなど不本意なシーズンを送った。「失敗したら格好悪いとか自分の中でどこかに守りが出来てしまった・・」。五輪選手という肩書きが彼女を苦しめていた。そのプライドを捨て去り、初心に立ち返った鈴木。すると次の2011-2012シーズンでは、GPファイナルで銀メダル、世界選手権で銅メダルを獲得するなど自己最高の成績。輝きを取り戻した。そして去年12月、彼女は大きな決断を下した。「ソチ五輪への挑戦」、そして「今シーズン限りでの現役引退」。それまで明言を避けていたソチ五輪への挑戦、そこには並々ならぬ覚悟が必要で、軽々しく「挑戦」を口にできないものだった。しかし、ソチ五輪と同じ会場で行われた12月のGPファイナルのリンクに立ち、揺れ動いていた彼女の気持ちは固まった。「もう一度この仲間でこのリンクに帰ってきたい」。覚悟を決めた鈴木明子、2度目の五輪出場に向け、勝負のシーズンに挑む。

◆年齢との戦い
アスリートにとって避けては通れない「年齢」との戦い。そんな中、8月の世界水泳で2個の銅メダルを獲得した28歳の寺川綾、女子レスリングで世界大会13連覇を達成した30歳の吉田沙保里、さらに、42歳となった現在も世界の第一線で戦うテニスのクルム伊達公子。年齢との戦いに打ち勝ち輝き続ける女性アスリートたち。28歳の鈴木明子もその1人。今から2年前、当時26歳の鈴木は新たにある大技に挑戦をする。「3回転3回転の連続ジャンプ」。26歳、フィギュア選手としては決して若くはない年齢にも関わらず、あえて過酷な道を選んだ。世界と戦うために必要だったが、ただ純粋に「跳んでみたい」という気持ちが鈴木の背中を押した。そしてついに、その年の11月GP日本大会で、スケート人生で初めて試合で成功させた。現役最後の今シーズンは、さらに難度の高い3回転3回転にもチャレンジするなど、今なお進化を続けている。

◆長久保裕コーチとの歩み
「今では近くなり過ぎて、お父さんみたいな存在」だと話す鈴木。そんな2人の最初の出会いは、鈴木が小学6年のころ。当時、仙台で指導していた長久保コーチの元に合宿に行く機会があったそうだが、テレビに映る長久保コーチの指導する姿はかなり厳しく怖かったそうで、鈴木は母親に対し「あんな怖いコーチのところには行きたくない!」と懇願したとのこと。さらに、当時は名前で呼んでもらえず、手袋の色で呼ばれていたそうだ。そうした出会いを経て、迂余曲折ありながら10年以上の歳月を共にしてきた2人。いいプログラムを作り上げるためには、お互いの意見をぶつけ合うことも。だからこそ、ぶつけ合った分だけ2人の喜びは大きなものに。2人で歩む最後のシーズン、鈴木はソチ五輪という最高の舞台で最高の恩返しを誓う。

◆プログラム
2010年バンクーバー五輪で披露した「ウエストサイドストーリー」。演技終盤の躍動感溢れるステップで観客を魅了。演技後の鳴り止まない拍手と歓声、鈴木明子の代表作となった瞬間だった。2011-2012シーズンのフリーは「こうもり序曲」。これまでのミュージカルから一転、「クラシック」を選択。ワルツの華やかさと軽やかさを表現した。2012-2013の昨シーズン、ショートは力強い女性をテーマにした映画「キル・ビル」。そしてフリーは、シルク・ドゥ・ソレイユの「O(オー)」。リンクに舞い降りた1羽の鳥を、鈴木ならではの表現力で描いた。そして、現役最後の今シーズンに選んだのは、ショートが「愛の讃歌」、フリーが「オペラ座の怪人」。ショートの「愛の讃歌」は、スケーター鈴木明子がこれまでのスケート人生で味わった嬉しいことや辛いこと、そうした思いや経験をリンク一面で表現する、まさに鈴木明子人生そのものと言えるプログラム。実はその「愛の讃歌」は長久保コーチが大好きな曲で、「鈴木選手の現役最後をこの曲で飾らせたい」と常々思っていたとのこと。2人の思いが詰まったプログラムで、スケート人生の集大成を飾る。