放送内容

2014年03月23日(日)放送

新生FC岐阜&川口能活

カテゴリー:野球

3年連続最下位争い。J2で低迷が続き、降格の危機に晒され続けてきたFC岐阜。
成績に比例し観客動員数は伸び悩み、クラブは資金難により存続の危機を迎えていた。
そんななか、去年12月に突如浮上した、ラモス瑠偉の監督就任の話題。
かねてから個人的に支援しラモスと親交のあった会社社長が、大幅な支援に乗り出す意欲を示したことがキッカケとなった。県や財界のバックアップによる債務超過解消が、支援の条件だった。
FC岐阜が抱える債務は、1億4000万円。全ては、県そして財界との意見交換会に委ねられた。
県の財界も状況を容認し、チームの財政難解消にメドが立った。
そんな中ラモスは就任が決まっていないにも関わらずトライアウトを視察、早くも監督就任に向け熱意を見せた。

1977年、ブラジルから来日したラモス瑠偉。三浦知良らと共にヴェルディ川崎の黄金期を築いた。1989年に帰化すると、10番を背負い日本の司令塔として活躍した。
監督としては2007年、当時J2だった古巣・ヴェルディをJ1復帰に導くなど、指導者としても才能を発揮。

そんな日本サッカー界のレジェンドが、FC岐阜の監督に就任した。

「強いチームつくりたいだけ。みんなを驚かせるくらい。みんなのことをビックリさせるくらいのチームをつくりたい。私たちプロですよ、今年チャンスあれば優勝したい」(ラモス監督)

7年ぶりにJリーグの舞台に復帰、3年契約という長期政権の下、チームの再建を託された。
そんなラモス監督を慕い、13人の新加入選手が集まった。
その中で最大の注目を集めたのが、川口能活。

「FC岐阜のためにJ1昇格のために、全てを捧げる想いで頑張りたいと思います。新しいチャレンジだと思うので、やはり自分の今までの経験を活かして戦っていきたい」(川口選手)

1994年、清水商業から横浜マリノスに加入。
2年目からスタメンに定着すると、この年の年間優勝に貢献する。さらには、新人王を獲得した。
18歳からは日の丸を背負い、日本代表としてもプレー。
日本サッカー28年ぶりの出場となったアトランタオリンピックでは、ブラジルが放った28本ものシュートをことごとく跳ね返し、歴史的勝利の立役者となった。
過去4大会全てでワールドカップ日本代表に選出され、国際Aマッチ出場数は歴代3位を誇る。
2001年にはさらなる高みを目指し、日本人ゴールキーパーとして初めてとなる海外挑戦。
ジュビロ磐田では、クラブ7年ぶりとなるタイトル獲得に貢献するなど、サッカー選手として輝かしいキャリアを築いてきた。

しかし去年12月、9年間在籍したジュビロ磐田との契約が満了。チームを戦力外となった。
そんな川口に声をかけたのがラモスだった。

「対戦もしたことあるし、すばらしいプロである。ピッチの中の上手さだけじゃなくて、ピッチの外でも男らしく、プロらしいから選んだ」(ラモス監督)
「消えかけていた、僕の中に消えかけていたサッカーの情熱がラモスさんと一緒にプレーすることで、情熱・闘志をまた蘇らせて」(川口選手)

J1のチームとは違い、決して恵まれた環境ではない。
専用の練習場やクラブハウスは無く、グラウンド脇のコンテナで着替えをしている。
それでも川口は、サッカーが出来る喜びを噛み締めている。

「まずは自分がサッカーできること。どんなグラウンドでも仲間と共にサッカーができる事。それが自分が求めていること」

そんな川口がサッカーを続ける理由。

「もっとサッカーがうまくなりたい。やっぱそういう気持ちで岐阜に来たし。自分がサッカーを好きでやっているってことが、一番のサッカーを続けている原点かなと思います」(川口選手)

迎えた開幕戦。去年の2倍以上となる1万人を超えるサポーターが長良川競技場に詰めかける。
期待の大きさを表していた。

岐阜は3点を奪い、試合を優位に進める。
川口の度重なるファインセーブで讃岐の反撃を1点に抑え、4シーズンぶりの開幕戦白星。

続く第2節。
川口は最後尾からゲキを飛ばし、チームを奮い立たせる。
終始、ベテランらしい落ち着いたプレーで得点を許さず、完封勝利。
クラブ史上初の開幕連勝で、最高のスタートを切った。

川口能活、38歳。
「もっとサッカーが上手くなりたい」その想いを胸にプロ21年目のシーズンに挑む。

「まだまだ自分が完成している選手とは思わない。気力、体力が続くまでは、やっぱり向上心をもってやっていきたいですね」