今、日本国内で、この男を越えるストライカーは存在しない。森岡薫、35歳。
今シーズン、Fリーグ35試合で38ゴールを挙げ、3年連続となる得点王を獲得。
3度目のMVPにも輝き、チームをプレーオフへと導いた。
迎えたプレーオフファイナル第1戦。森岡はチーム6得点の内、5ゴールを挙げたものの、チームは大分に敗れた。そんな中森岡は、チームメイトへ、メールでメッセージを送った。
「俺たちがが負けるはずがない。負けられない。明日は皆で勝って優勝を味わおう―」
翌日、チームは本来の力を取り戻し、見事7連覇を達成した。
その後、全日本選手権に出場し、16日間で8試合というタイトなスケジュールにも関わらず、見事連覇を達成。これで国内タイトル3冠を達成した。
森岡の次なる戦いは、フットサル日本代表として戦う、AFCフットサル選手権。
しかし、国内合宿で、最終調整を行っていたフットサル日本代表の中に、森岡の姿は無かった…。
合宿も残りわずかとなった4月21日。右ひざにテーピングを巻いた森岡の姿があった。
右ひざ内側じん帯損傷―
AFCアジア選手権まであと10日。万全ではない中、森岡は大会が行われるベトナムへと向かった。
AFCアジア選手権グループステージ第1戦。後半途中から出場した森岡は、1ゴール1アシストを記録。復活への第一歩を踏み出した。
さらに、強豪・タイとの準々決勝では、同点の場面で決勝点となるゴールを決めるなど、日本の決勝進出の原動力となった。
迎えたイランとの決勝戦。森岡は、痛み止めを打って出場。しかし、相手の動きについていけなかった。後半途中から森岡に出場機会はなかった。
そんな中、日本は決勝の舞台で一度も勝利したことのないイランを相手に互角の戦いを見せる。延長までもつれた試合は、決着がつかず、PK戦へと突入。GK関口がスーパーセーブを連発し、日本フットサル史上初となるAFC連覇を達成した。
帰国後、森岡は、悔しさを語った。「このままじゃ、終わりたくない―」
味わった悔しさは、2年後の2016年に行われるワールドカップで晴らしてくれるだろう。