森岡薫、35歳。名古屋オーシャンズに所属するプロフットサルプレーヤー。
強烈なシュートを武器に、ゴールを量産し、3年連続得点王、3度のMVPに輝く日本屈指のストライカーだ。チームを指揮する、ビクトル・アコスタ監督も森岡の活躍に対し、「彼のメンタリティは素晴らしい。彼は本当にチームに貢献してくれている。」と舌を巻く。
35歳と、選手としてはベテランの域に入った森岡。それでも、プレーの質は落ちるどころか、常に進化を続けている。その理由を、チーム加入当時から知る高橋コーチは、「周りにいる選手から学ぶ姿勢と、本人が意識を高くやった結果だと思う。入団から5年ぐらい経ってから、チームを勝たせる、苦しい状況でもチームを救えるようになったんじゃないか」と語る。
10月。ペルーで暮らす、母・アリシアさんが日本へとやってきた。
ペルー生まれの日系三世である森岡は12歳で家族と共に来日。しかし母・アリシアさんは1ヶ月でペルーへと帰国。それ以降、日本とペルーとで別々の生活を送っていた。
今回は実に23年ぶりの来日。Fリーグを観戦し、森岡の家族と共にホームパーティを楽しんだ。
去年12月。森岡は日本代表としてクロアチアとの親善試合に出場した。
ある思いを胸に―。
2014年AFCフットサル選手権。森岡は右ひざの怪我を抱えながら、日本代表のエースとして大会に出場。しかし、決勝の舞台では、ケガの悪化もあり、思うようなプレーが出来ず、試合途中からベンチに下がった。その時の思いを、森岡は…
「2年後のW杯は絶対に出てやろうと思った。絶対に出て悔しい思いを2年後にぶつけてやろうって。このままじゃ終わりたくない。」
そんな思いを胸に臨んだ日本代表対クロアチアの一戦。2試合目で国内の代表戦、初ゴールを決め、クロアチアに快勝した。
来年、コロンビアで行われるフットサルW杯。森岡は37歳になる。その舞台に日本代表として立ち、母にその姿を見てもらう。そして、AFCで味わった悔しさを晴らす。
「W杯は今でも変わず、夢の場所。どうしてもW杯の舞台に立ちたい―」
森岡の挑戦は、まだこの先も続く。