放送内容

2015年02月15日(日)放送

宇野昌磨 飛躍のシーズン ~その先にあるシニアを見据えて~

カテゴリー:野球

実況)「宇野昌磨、まさに衝撃の世界デビュー!!」
今週、初めて足を踏み入れたシニアの国際舞台で、
世界に強烈なインパクトを残した
地元・中京大中京高校2年、宇野昌磨。
今シーズン、大きな飛躍を遂げる17歳、
その成長の裏側に迫った。

2015年、元旦。
彼は普段と変わらずリンクに足を運んでいた。
「10時半ぐらいに寝て朝起きたら、あっ年明けてるって感じでした」
スケーター宇野昌磨を生み出した
名古屋・大須のリンクで、毎年恒例の元旦初すべり。
正月といえど彼にとっては、
シーズン中の貴重な1日に過ぎない。
「ジャンプも全部跳べてよかったと思いますけど、
久しぶりからかすごい足が辛いです」
新年の第一歩を踏み出したフィギュア界の新星。
2014年は激動の日々を過ごした。

12月、ジュニアのグランプリファイナル。
ジュニアの歴代最高得点で世界一に輝くと、
2週間後。
年の瀬に開かれた全日本選手権では、
シニアのスケーターたちを抑え2位。
13年目を迎えたスケート人生で
最も躍進を遂げていた。
「今までやってきた中で一番成長できたいい一年だと思いました」


Q)何してるときが一番好きなの??
「スケート滑ってるときが一番!
オリンピックに出たい!」(当時9歳)
一つの事にとことん夢中になれる男の子が
スケートに出会ったのは5歳の頃。
「浅田真央ちゃんが一緒に遊んでくれて楽しかったから
また何回も行っているうちに
もっと楽しくなってスケートを始めてみようって」
中学生だった浅田真央と同じクラブで練習。
すでに世界一となっていたスケーターの後ろで
基礎を磨くと
憧れの存在、髙橋大輔の影響を受け、
類まれな表現力を身につけた。

浅田らを育てた名コーチ山田満知子さんは、
早々に教え子の才能を見抜いていた。
山田コーチ)
「真央ちゃんは平均的にフィギュアスケートの必要なものを
みな持ってます。彼もそうなんです!
天才的なものも持ってるし努力もあるから」
(2007年取材)

天才少年は小学6年にして、
高校生も出場する全日本ジュニアで3位。
羽生結弦とともに表彰台に上ると
中学では、
羽生に続く全国大会3連覇!
高校でもタイトルを総なめにし、
国内では無類の強さを誇っている。

ところが・・・
海外ではトップを奪えるほどの実力が
備わっていなかった。
「今のままではいけないと思うので、
今跳べないジャンプも跳べるようにしていって」
(当時15歳)

16歳で今シーズンを迎えた宇野。
ジュニア(13~18歳)とシニア(15歳以上)
※そのシーズンの7月1日時点
どちらも選択できる中、
もう1年ジュニアで戦うことを決意。
今度こそ世界で結果を出すため、
武器となるジャンプの習得は至上命題だった。


=大技習得の秘話(1)=4回転ジャンプ
海外のトップ選手のほとんどが
最大の得点源とする4回転ジャンプ。
いまや、ジュニアでも跳ぶ選手が多くなってきた大技。
オフシーズンに着手し、
6月に初めて成功させた。
「本当に4回転跳べたのかっていうのもありますけど、
実は3回転なんじゃないかって(笑)」
その自信を深めたのが
9月に地元名古屋で開かれた
ジュニアグランプリシリーズの一つ、メーテレ杯。
初めて2本入れるプログラムに挑戦し
どちらも着氷した。
「メーテレ杯では4回転を2本、
(着氷に)成功できてうれしかったっていうのもありますし
それが結構自信にもつながって
今も跳べ続けている理由かなと思っています」
続くクロアチア大会でも2本成功。
ついに念願の国際大会初優勝を飾った!!
「4回転は絶対に必要だと思っていたので
すごく跳べてうれしいですし
最大の武器に出来たらいいかなと思っています」


=大技習得の秘話(2)=トリプルアクセル
4回転を習得した一方、
昨シーズンからプログラムに入れるトリプルアクセルは
シーズンに入っても跳べずにいた。
実は、宇野が取り組み始めたのは
今から4年前、中学1年のとき。
2011年の正月。
絵馬にも決意が記されていた。
「今年中にトリプルアクセルを跳べるように頑張りたい」
(当時13歳)

あれから4年。
苦しみ続ける宇野にアドバイスを授けたのは・・・
トリプルアクセルを代名詞とする
先輩・浅田真央だった。
「フってやれば跳べるよって感じでした(笑)
やっぱ・・・天才は違うなと思いました。」
11月、
今シーズン、5本目のチャレンジで
ついに4年越しの想いが実を結ぶ。
秘訣は逆転の発想だった。
「4回転が最初に降りれて自分でもびっくりして。
だからアクセルはまだ跳ばなくてもって言う
心の余裕ができてきたぐらいにアクセルも降りて
本当に課題にしてきたことが全てやりきったかなと思います」


手にしたのは、シニアでも十分に戦えるプログラム。
実は12月以降、
4回転、トリプルアクセルともに抜群の成功率を誇っている。
山田コーチ)
「昌磨はどのジャンプもそうなんですけど
シングルアクセルのときからそうなんですけど
習得するのにはすごい時間がかかるんです。
でも跳べるようになったらあんまりミスがないというか
決まりだしたらずーと跳べる」

安定感のあるジャンプを支えているのは
なにも才能だけではない。
山田コーチ)
「練習量もすごいし
自分の決めたことに対してぐっと食いついてくっていう
すばらしく努力はしますね」

12月の全日本選手権では、
シニア勢も含めただ一人
4回転とトリプルアクセルの全てを成功。
過去3年とは、景色が違って見えた。
「今までは本当に全日本ジュニアで6位以内に入ったおまけで
全日本選手権に出て、
別の試合に出てって感じがあったんですけど
4回転もアクセルも入れることができて
シニアの選手たちと同じジャンプが跳べるっていうので
同じ試合に出てるって実感がありました」

12月に17歳の誕生日を迎えた宇野。
シニアを意識し始めたことで
課題も浮き彫りになった。
芸術面を評価する演技構成点。
ジュニアでは群を抜く存在だったが
シニアとの差は歴然だった。
「シニアの中では全然目立たないというか
上手くないと自分でも思うぐらいだったので
そこがこれから改善していかなきゃって思うところです」


今週、
宇野はシニアの国際大会(四大陸選手権)にデビュー。
ショートの冒頭、
4回転ジャンプを鮮やかに決めると、
続くトリプルアクセルも成功!
2つの大技を完璧に決め
本人も驚きの高得点を叩き出す。

ところが、フリーでは
安定感のあった4回転が乱れてしまう。
トリプルアクセルを2本成功し、
課題の演技構成点も日本人トップで
自己ベストを更新。
それでも、
ミスを悔やんだ。

そのシニアの舞台に
来シーズン、本格参戦を見据える宇野。
今年の抱負は・・・
「4回転サルコウを とべたらとびたい」
ソチの金メダリスト羽生をはじめ
世界のトップスケーターは複数の4回転をマスター。
同じジャンプは2度しか入れられないため
種類を多く跳べることは大きなアドバンテージとなる。
「(4回転)サルコウまで跳べる人が何人もいるので、
僕も絶対に必要になると思ってやっていきたいなと思います」


夢のオリンピックまであと3年、
17歳の高校2年生が今、欲しいものは・・・
「いや、ないんですよ~誕生日プレゼントも欲しいものはなくて。
シニアと一緒に戦える力は欲しいと思います。
買えないからこそ、手に入れたときに
達成感があるんじゃないかなと思いますし、
自分の力で少しずつ手にしていきたいなと思います」