スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦しつづけるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。
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2008/06/28放送
名古屋グランパス背番号19、杉本恵太。
昨シーズン、全34試合に出場、うちスタメン26試合の杉本。
ところが、今年の彼の出番は、終了間際の限られた時間。ゲームに入ることが難しいといわれる、途中出場で、しかし、杉本は、ここまで4得点と、チームの危機を幾度となく救ってきた。その勝負強さは、チーム一。
「出れば、必ずいいプレーで応える」―。
ストイコビッチ監督も絶大なる信頼を置く。
しかし、開幕当初、杉本は葛藤の中にあった。
それは、プロなら誰しもが持つ、「スタメンへのこだわり」。
チームが求める役割と、自身の思いとの間のずれ。それが、ミスを生み出し、ゴールから遠のく要因となった。
転機となったのは、4月5日 第5節マリノス戦。
リーグ通算、出場100試合目のこの試合で、杉本は今シーズン初ゴール。
ようやく生まれたゴールに、安堵したと同時に、杉本は自らの役目を自覚する。
しゃにむにゴールを狙うのではなく、あくまでチームにフィットする。チームのために戦う!
その後、杉本は躍進。続く2試合でもゴールを決め、チーム6連勝に貢献。チームを思う杉本の気持ちは、サポーターへの感謝の思いへ繋がり、さらに、熱い思いは、チームを強くもした。
ガンバ戦の敗戦で、3連敗を喫したグランパス。試合後ロッカールームで号泣する杉本の姿に突き動かされた、ストイコビッチ監督。次節、FC東京戦前に、ミーティングで選手たちに言って聞かせた。
「もう杉本の涙はみたくないぞ」
指揮官の言葉に鼓舞され、チームは奮起。
チームは杉本のために。杉本はチームのために。FC東京戦、杉本は自らの足で決勝ゴール。連敗を3に止めた。
「今は、スタメンってものを捨てても、チームのために戦いたい」
杉本は、今全てをチームに捧げ、戦い続ける。