スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。
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2008/11/01放送
全国各地の予選を勝ち抜いた25校が熱田神宮から伊勢神宮までの106.8キロを8人でつなぐ「全日本大学駅伝」。
現在の大学駅伝界は、関東の大学が上位を占める。
全日本では22大会連続で関東の大学が優勝、去年のベスト10はすべて関東勢だった。
地方の大学は歯が立たないのが現状だ。
だが、かつてこの地方の大学が全日本の上位に入賞していた事があった。
中京大学だ。1973年には2位。80年、81年には3位に入賞した。
その原動力となったのが現中京大学監督、川口孝志郎だ。
川口は学生時代、1年生から一番距離の長いエース区間を任され、並居る関東の強豪を退け、見事3年連続区間賞に輝いた。
また、川口が樹立した東海学生記録はいまだに破られていない。
5000m、13分53秒。1万m、28分38秒。
記録が伸び続ける陸上の世界で、30年前の川口の記録は現在の学生トップにひけをとらない。
シューズは飛躍的な進化を遂げ、トレーニング方法は科学的になった今でも、川口の記録はさん然と輝いているのだ。
さらに、川口は大学を卒業した年に「びわ湖毎日マラソン」で優勝を飾り、日本代表として世界陸上にも出場した。
「自分たちのレベルでも強くなれるんだというのがあの当時の中京大にあった。」
ところが、去年まで9年連続で全日本出場を逃すなど、かつての輝きを失った中京。
川口が徹底的に取り組んだ、名門復活へのカギがあった。
「自分たちはこれぐらいしか出来ないとか決め付けている部分があったり、殻の破り方とか頑張り方が分からない。
だから監督として2年目ですけど、殻を破るって事を真剣に教えようと。」
そんな川口の指導が実を結び、就任2年目にして、中京は実に10年ぶりの全日本出場を決めた。
その勝因を篠崎主将は「監督が代わったのが一番。チームがまとまり、皆が陸上を真剣にやり始めた。」と話す。
「去年は完璧に自分たちのレベル自体が分からないチームだったが、やっと目標が見えた。」
名門、中京が10年ぶりに伊勢路に帰ってきた。7時間後、熱田神宮で戦いの幕が上がる。