スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。
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2009/05/16放送
今年でプロ10年目を迎えた中日ドラゴンズ朝倉健太。
節目となるシーズンはゼロからのスタートだった。
去年、利き腕の右腕に血行障害を患い手術。
この春のキャンプでは自分らしさを取り戻すために懸命に練習に取り組んだ。
オープン戦できっちり結果を出し開幕ローテーション入りを勝ち取ると、2試合目の登板となった4月15日のタイガース戦で実に361日ぶりの白星となる今シーズン初勝利を挙げた。
翌週にはプロ入り以来の目標だった通算50勝を達成。
故障から復活への道程を確実に歩んでいる。
開幕から1ヵ月半、ここまでチームトップタイとなる3勝をマーク。
しかしその結果以上に今、重要な役割を任されている。
「週の頭で投げるというのは大事な事というか、自分としてはすごくやりがいのあるポジションだなと思うんですけど。
去年までは憲伸さんがいたんで、憲伸さんにそういうところは全部任せてて・・・。」
去年までは投手陣を支えてきたエース川上が任されていたチームが戦う上で重要なカード初戦のマウンドを今年は朝倉が担っている。
川上に代わる存在としてここまでの登板は全てカード初戦。しかし・・・。
「誰もいないからという感じなので」
朝倉は川上の代わり、投手陣の柱という役割を任されたとは思っていない。
それでもやるべき事は理解している。
「自分が納得いかないピッチングで例えば4回とかに降板してもチームが勝てばそれで良いんじゃないか。自分にとってはマイナスだけどチームにとってはプラスだと思うので・・・」
ここまで朝倉が登板した6試合、チームは4勝2敗と勝ち越している。
メジャーリーグで先発ピッチャーの評価基準となる『クオリティースタート』というデータがある。
先発し6イニング以上、自責点3以下に抑えた回数から数値を導くものだがセ・リーグのローテーションピッチャーで登板した全ての試合で6イニング、自責点3以下というこの条件をクリアしているのは朝倉を含めわずかに3人。見事に結果も出しているのだ。
プロ10年目の今シーズン、チームへ勝利をもたらす先発ピッチャーとして朝倉は確かな成長を遂げた。
「第1段階はクリアしたと思うので、第2段階、第3段階とレベルアップして最終的には2ケタ挙げたいなと思います。」
目指すは2年ぶりの2ケタ勝利。この目標を達成した時、投手陣に朝倉健太という『柱』が誕生するはずだ。