アスリートドキュメント

スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。

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桜花学園 渡嘉敷来夢

2009/06/06放送

名古屋市内の閑静な住宅街に高校女子バスケットボールの名門・桜花学園はある。
前身の名古屋短期大学付属高時代から、インターハイ、選抜大会での全国優勝は、実に30回を超える。
今年もまた、全国制覇を目指し、厳しい練習に取り組んでいる。
だが、4月のインターハイ予選。
本来ならコートにいるはずのエース・渡嘉敷来夢(らむ)が応援席にいた。
渡嘉敷は、新チームになってから、一度もプレーできていなかった。

身長191センチという大きさながら、俊敏に動き、高く跳ぶ事が出来る渡嘉敷。
主にゴール下でプレーするセンターとして、桜花で1年生からレギュラー入り。
これまで、何人もの日本代表選手を育て上げた井上監督も、
「走れる、跳べる、サイズもある。今までの日本の歴史の中ではいないタイプ。」
とその能力を評価。 そんな渡嘉敷は去年、16歳にして、史上最年少で日本代表候補に選出された。
順風満帆に見える渡嘉敷だが、去年、大きなアクシデントに見舞われる。
12月の選抜大会の決勝で、渡嘉敷は両チーム最多の37得点と大爆発、チームを連覇に導いた。
しかし、実はこの大会の1カ月前に左足首の疲労骨折が判明していたのだ。

5月中旬、そんな挫折を乗り越えた渡嘉敷が5カ月ぶりに、練習に復帰。
さらに、その2週間後には、フォーメーションの確認にも参加、県大会の最終日に出場できる目処がたった。
「やっぱり出るからには、足がアレだから動けないっていうのはイヤ。」

そして、愛知県大会の最終日。渡嘉敷にとって、5カ月ぶりの試合。
序盤、ボールが手につかない渡嘉敷。いつもなら簡単に決められるはずのシュートが決まらない。
第1クォーター、渡嘉敷はわずか4得点、試合は同点に終わる。
しかし第2クォーター、徐々に、渡嘉敷のエンジンがかかり始める。
厳しさを増す相手のマーク。それでも、渡嘉敷はこのクォーターで14点を挙げ、9点リードで前半を折り返す。
後半に入ると、渡嘉敷は完全にゴール下を支配する。
9連続得点を挙げるなど、エースの役割をしっかり果たし、終わってみれば、チーム79点の内、34得点。
桜花は3戦全勝で見事、優勝。27年連続27度目のインターハイ出場を決めた。
「緊張しましたね。インターハイではチームの柱としてやっていきたい。」
スーパーエースが目覚めた名門・桜花。この夏、まずは、一つ目の頂点を狙う。


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