スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。
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2009/06/20放送
思ってもみない光景だった。
5月24日、磐田戦、小川に2枚目のイエローカード。
冷静沈着な小川のまさかの退場劇。
それは、今シーズンの小川の葛藤を象徴するかのようだった。
去年ストイコビッチ監督に見出された小川は、11ゴール11アシストと、その才能を開花。リーグ3位に躍進したグランパスの原動力となった。活躍が認められ、2008年 リーグ新人王と、ベストイレブンをW受賞した。さらに、日本代表候補にも初召集され、名実ともにトッププレイヤーの仲間入りを果たした小川。
今年、その小川に用意されたのが、背番号10。
その10番を背負って、小川は苦戦していた。
相手チームからの執拗な警戒。ふるわないチーム状況。
何とか打開しようと、獅子奮迅するも、空回り。葛藤は深まるばかりだった。
その小川に声をかけた、ストイコビッチ監督。
「小川がフラストレーションを抱えていると思った」
「普通のプレー、普通のパフォーマンスをすべきだと」
「今までやってきたこと、それで十分なんだ」。
その言葉に、小川は、改めて自身のプレーを見直すことになる。
原点回帰。
小川は話す。
「やっぱり連戦の中で自分たちのやらなければならないことだったりとか、戦術面だったりとか、やっぱり忘れがちになっている部分がたくさんあったと思います」
Jリーグ中断期間中、グランパスはミニキャンプを行った。基本練習、戦術練習の繰り返しで、戦い方を再確認し、本来のスタイルを取り戻した。
原点回帰した小川が、再び動き出す。