スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。
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2009/06/27放送
11月の秋の伊勢路へと続く全日本大学駅伝・東海地区選考会が今年も6月21日に行われた。近年東海地区で安定した成績を残し、3年連続15回目の全日本出場を狙う愛知工業大学。
今年は医学部キャプテン飯塚を擁し、5年ぶりの伊勢路返り咲きを狙う国立の雄・名古屋大学。そして去年、10年ぶりに全日本の舞台へと再び戻ってきた川口孝志郎(かわぐち こうしろう)率いる中京大学。
この3校を中心に18校によるわずか2つの伊勢路キップをかけた壮絶バトルが繰り広げられた。
そんな中、今年最も優勝に近いと言われていたのが中京大学。かつて全日本大学駅伝最高2位という成績を残し、言わずと知れた一時代を築いてきた名門である。
監督である川口孝志郎は強い中京を支えたOBの一人。1979年から1982年までの大学在学中にはいずれも全日本に出場し、3年連続で区間賞を受賞した名ランナーだ。
その川口がチーム再建を託されてから今年で3年目。1年目は惜しくも選考会3位。
2年目の去年は2位で予選を通過し10年ぶりの伊勢路復活を果たす所までチームを立て直してきた。
「学生との信頼感を築けているのが一番。練習も一昨年よりも去年、去年よりも今年と充実度は毎年上がってきています」と今年の選考会を前に自信を覗かせていた。
中でも3年生の山下洸(やましたみなと)は中京大学のエース。この一年間で10000メートルの自己記録を一気におよそ50秒縮め、29分54秒という30分切りも達成した。
山下が記録を更新し続けてきたのには訳がある。監督である川口の厳しい指導にも弱音を吐かず地道に、そして寡黙に練習を続けてきた事。毎日一歩一歩着実にステップアップしてきた姿を見て川口も「彼は普段通り走ってくれると思う。何も心配はしていない、彼ならやってくれる」と絶大な信頼を山下に置いていた。
「僕が走る事でチームに刺激を与えられるような走りがしたい」そう選考会前の練習で話してくれた山下。
川口は1組目に山下を抜擢。果たしてその結末は・・・。
そして迎えた選考会当日。選考会の仕組みは各大学2名が10000メートルを走り、4組の合計タイムで順位を競う。上位2校までが11月の全日本大学駅伝に出場できる。
1組目の山下は普段通りの走りで終始先頭でレースを展開。
残り1周を切った所でトップ争いを繰り広げていた三重中京大学の中田を振り切りトップでフィニッシュ。期待通りの走りを見せると、その後も中京大学が安定したレースを披露。
走った8名全員が大崩れする事なく、1組目から4組目まで一度も1位の座を明け渡す事なく優勝。
2年連続30回目の全日本大学駅伝への出場権を得た。
古豪復活へ―――
中京大学が今年も再び晩秋の伊勢路を駆け抜ける―――
全日本大学駅伝・東海地区選考会 結果
1位 中京大学 4時間15分10秒01
2位 名古屋大学 4時間18分42秒29
3位 愛知工業大学 4時間20分43秒65
4位 四日市大学 4時間23分41秒31
(※上位2校が全日本大学駅伝への出場権獲得)