アスリートドキュメント

スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。

172

ショートトラック 寺尾悟

2009/10/10放送

~復活へのプロローグ~

10月上旬、長野県で行われているショートトラック日本代表合宿にある男の姿があった。 日本ショートトラック界の第一人者、寺尾悟、34歳。
バンクーバーオリンピックを目指し、連日ハードなトレーニングに打ち込む日々。
出場すれば自身5度目となる。ところが今シーズン、寺尾に試練が訪れていた。

2月、ワールドカップ日本代表のブルガリア遠征練習中に左足首を脱臼骨折。
緊急帰国し、手術を受けた。寺尾にとっては3度目の大きなケガとなってしまった。
それでもその都度、ベテランはケガを乗り越えてきた。今度もまたゼロからのスタート。
苦しいリハビリ生活。それでも男に支えとなるものがあった。
今年1月に結婚し、新しい環境の中でオリンピックを目指す…「妻のためにオリンピックへ行きたい」と彼の熱い眼差しは再びバンクーバーへと向けられていく。

9月の全日本距離別選手権でおよそ9ヶ月ぶりの公式戦に復帰した寺尾。
もちろん足の状態は万全ではなかったが、3種目(500メートル、1000メートル、1500メートル)に出場し、全て決勝進出。 疲労が極限に達している中で自分がどこまで通用するのかを試しながらレースに臨んでいた。
結果が500メートル4位、1000メートル5位、1500メートル4位。
結果だけを見れば、満足はいかない。 しかし、上位こそ入れなかったが本人にとって復活に向けての確かな手ごたえはつかんだ。
「正直復帰できるのかと思っていた。5度目に挑むなら出場するだけではなく、表彰台を目指したい」こうハッキリ言った寺尾。
さらに、ベテランはこうも言った。「スケートが好きだから続ける」

オリンピックへの最終選考は12月の全日本選手権。残り2ヶ月。 5度目の出場を果たし、復活の2文字はオリンピックで必ず見れると信じている。


バックナンバー