アスリートドキュメント
スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦しつづけるアスリートの素晴らしさ 密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します
ファイルナンバー

001

中日ドラゴンズ 福留孝介

2004/04/03放送

開幕への不安

 3月28日、今年最後のオープン戦が終わったばかりのドームに乾いた打球音が響いていた。1人黙々と打ち込んでいたのは、今シーズン、チームの中心4番として期待がかかる福留孝介。5日後にひかえた開幕を前に福留は大きな不安と闘っていた―
 福留は、今年のキャンプでオーバーワークから右足ふくらはぎを痛め、まさかのリタイア。キャンプは別メニューでの調整となり、開幕への影響も心配されたのである。焦る気持ちを抑えながら調整をする日々が続く。そして、悪夢のケガから41日、ついに福留はオープン戦初出場を果たす。内容は第2打席で内野安打。全力ではないとはいえ、走る姿は体に不安がなくなった事を表していた。
 だが…同時に新たな不安が芽生えてしまったのである。体の不安はなくなったものの、ケガの影響からバッティングに微妙な狂いが生じていた。結果はオープン戦わずか3安打。その姿は本来の福留とは程遠いものだった。そこで福留は体のキレを取り戻す為に驚くべき行動をとる。オープン戦が終わったばかりのナゴヤドームでバッティング練習を始めたのだ。落合監督が見守る中、みっちり2時間、黙々と打ち続ける。そしてその打球には徐々に力強さが戻ってきていた。
 しかし、全ては始まってみないと分からない…福留の中で開幕戦への不安は消える事はなかった。出来る限りのベストは尽くした。あとは開幕に挑むしかない。
 そして迎えたセントラルリーグ開幕。独特の緊張感が漂う中、福留は今シーズンの初打席に立った。マウンドには、天敵であるカープの黒田。そこで福留はレフト前へチーム初ヒットを放った。さらに第4打席には、左中間へのタイムリースリーベース。もやはその表情には不安のかけらも見られなかった。ケガや不安があっても、その時のベストを尽くすという福留。そして今、結果を出した。今年も福留のプレーから目が離せない。
backnumber