アスリートドキュメント
スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦しつづけるアスリートの素晴らしさ 密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します
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フィギュアスケート・浅田真央

2006/03/18放送

女子フィギュアスケートの浅田真央が今月17日中学校を卒業した。
浅田はシニアデビューした去年、世界一を決定するグランプリファイナルをわずか15歳で制した。いとも簡単にトリプルアクセルを跳ぶ15歳の浅田を周囲は「天才」と呼ぶようになる。しかし、そんな浅田に大きな試練が待ち受けていた。
今月行われた世界ジュニア選手権(スロベニア)。浅田は史上初の2連覇を狙っていた。
シニアで世界一となった浅田が、同年代のジュニア選手に負けるはずがない。誰もが浅田の勝利を確信していた。そして浅田自身も誰にも真似できない最高の演技を見せる思いでいた。男子でも成功者のいない「4回転ループへの挑戦」を公言したのだ。
しかし、大会直前になって不調に陥った浅田は4回転ジャンプを回避、トリプルアクセルに集中するが、本来の動きではない。得意のジャンプミスが続き、同い年のキム・ヨナ(韓国)に完敗。ジュニアの国際大会で初めて2位に甘んじた。シニアで快進撃を見せた時とは別人のような演技内容。浅田は大会後、敗因についてこう語っている。「優勝したい気持ちが大きすぎて、硬くなった。」天才少女に初めて訪れた大きな試練。
実は今回の浅田と同じような経験をした選手がいる。トリノ五輪金メダリストの荒川静香だ。荒川は五輪選考のかかった去年、全ての大会で浅田に敗れている。トリノに行けるかどうかがかかっている、さらには、15歳の後輩に負けるわけにいかない。大きな重圧と荒川は闘わなければならなかった。そんな荒川と違い、これまでの浅田はいつも挑戦者の立場だった。失うものがない強さ、そしてスケートを楽しむ気持ちが浅田の快進撃を生んでいた。それが今回、ジュニアの大会で浅田はかつての荒川と同じ立場となった。そして負けた。
しかし、悲観することはない。この経験を浅田は冷静に受け止めている。中学校卒業した日、浅田はこれからについてこう語っている。「高校生らしく楽しく滑りたい。」なぜスケートをするのか、本来の自分を取り戻すことができた浅田真央。試練を乗り越えたその先にバンクーバーへの道がつながっている。
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