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~揺れる心
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8月12日ナゴヤドーム。中日はライバル阪神を圧倒し
マジック40が点灯した。
選手会長 井上一樹も9回表の守りから出場し、勝利の輪の中にいた。
しかし、ナゴヤドームからの帰り道、井上は複雑な思いを打ち明けた。
「やっぱりスタメンだよね」
井上は今シーズン70試合以上に出場しているが、およそ半分が
途中出場。激しいポジション争いの中でベンチを暖める日も多く、
納得できない日々が続く。
「己が活躍してナンボの世界だから・・・」
目指すは当然ヒーロー。
だがそれだけでは成り立たないこともこれまでのプロ生活の中で
理解している。
野球選手の本能ともいえるヒーローになりたいという思いと、チームを支えるベテランの自覚。
揺れる心。そんな井上の気持ちをミスタードラゴンズ立浪和義の一言が楽にした。
「みんなが頑張ってひとつになって優勝できるんだと。使われ方にムッと思うようなことがあるとしても、
みんなで喜べる形で俺達も全面協力というかバックアップしていこうと。」
自分より年上で実績もある立浪のこの言葉で井上の気持ちが吹っ切れた。
そんな中、井上は7月中旬からバッティングフォームを変え好成績を残している。気持ちと技術、すべてが生まれ変わった井上。8月15日の広島戦ではプロ野球史上411人目となる1000試合出場を達成。
「長くかかったけど、自分の中では誇れる数字としていいかな」
プロ17年目にして手にした大きな勲章。時にはスタメンで。時には代打で。
出番がどんな形であれ、自らの役割を全うするのみ。もう迷いはない。
生まれ変わった、井上一樹がチームを勝利に導く。
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