研究コーナー
スポーツにまつわる伝説や言い伝え、些細な疑問までを徹底検証します。
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「低酸素トレーニング」

2005/05/07放送

▼低酸素トレーニングとは?
 有名なのは「高地トレーニング」=高度1800~2500mの地域で行なわれるトレーニングで、日本では1968年のメキシコオリンピック(標高2300m)に備え、研究が始まった。アメリカのボルダー(標高2300m)、中国の昆明(標高1900m)など日本人選手が利用することで知られる。

▼低酸素トレーニングの効果は?
 酸素は赤血球のヘモグロビンと結合し、筋肉まで運ばれ、パワーを生む材料となる。
酸素が少ない状態では、より効率よく酸素を取り込もうとし、血液の「酸素運搬能力」(=成分の能力向上、血管の収縮遅延など)が上がる。また、最近の研究では、筋肉自体もより効率よく酸素を消費しようとする能力が高まることが分かってきている。(赤血球が増えると言われたのはひと昔前のこと)
 ⇒主に、持久力(遅筋)が必要とされるスポーツ(マラソンなど)の選手が取り入れてきたが、瞬発力(速筋)が必要とされるスポーツでも、その効果が利用され始めている。

▼岡山研究員が低酸素トレーニング施設を紹介!
 高地でのトレーニングは、気圧が低い為、身体にかかる負担が大きくなる。そこで最近、身近なところで低酸素トレーニングを行なえる施設が増えつつある。
★(写真)国立スポーツ科学センター(東京都・北区)
 気圧は平地のままで、高度3500m相当までの酸素濃度を設定できる、低酸素トレーニング室や、低酸素宿泊室を完備。ただし、一般利用は出来ず、オリンピック選手の合宿などに利用されている。
★(写真)ハイテクスポーツ塾(東京都・千代田区)
 低酸素トレーニングルームやオリジナルのマシンでトレーニングができる。
▼光る!スポーツ研究所的実験
 標高3000mの穂高岳山荘のスタッフが、2週間の高地生活に入る。その登山前と下山後に、100m走・1500m走のタイムと、走り終わった直後・1分後の心拍数を測定。心拍数の回復具合を見る。

実験結果(実験協力:穂高岳山荘スタッフ・堀江さん)
 100m タイム 直後の心拍数 1分後の心拍数 回復
登山前 15秒63 163 136 -27
下山後 15秒27 150 94 -56
結果 ほぼ変わらず   →下山後は回復が早まる







1500m タイム 直後の心拍数 1分後の心拍数 回復
登山前 5分27秒 150 132 -18
下山後 5分 9秒 162 117 -48
結果   18秒アップ   →下山後は回復が早まる







人間は刺激を与えると、刺激に対してより簡単に対応しようと身体が変わる=「適応」
低酸素トレーニングは、(1)瞬発力(無酸素系)(2)持久力(有酸素系)(3)中間(無酸素系と有酸素系両用)どのエネルギー回路に対してもいろいろな効果が期待できる。

わずか2週間の高地生活であったが、心拍数がより早く回復した=心肺機能系(呼吸・循環・心臓・肺・血液・毛細血管など)の能力アップが複合的に起こった。 ⇒身体が「適応」したと言える!

まとめ

低酸素トレーニングは、短期間でも、身体の「適応」が見られた!

ただし、身体には大きな負担がかかるので、一般には慎重に行なわなければならない!


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