先月、フィギュアスケートの安藤美姫が世界選手権で金メダルに輝いた。
この大会を制した者は一年間、世界女王の称号が与えられる。この4年間ではあるが彼女の成長を影ながら見てきた。港区のリンクで早朝・夜間、時には一般滑走に混じり氷上で練習を重ねていた少女が世界女王となった。
私が感じたことは、それまでの過程の中で、安藤のそばに常にいた母のこと。
私が取材を始めた頃、企画の1シーンで母を取り上げたことがあった。放送後、リンクへ行くと安藤が近づいてきて「ママが怒ってたよ~」と言ってきた。ヤバイと思いながら、ママのところへ行くと「フィギュアスケート選手を子に持つ母親たちはみんなが付きっ切りで世話をしてるの。別に私だけが特別じゃないから取り上げることでもないのよ。」
別段、怒っていたわけではなかったが、はっきりと言われたことがあった。
今でこそ米国での練習が多くなったが、当時はほぼ毎日の送り迎え、練習中もスタンドに座り娘を見ていた。「やっぱり滑りは気になりますか?」と聞くと「そんなのはいいんだけど、人様にぶつかって怪我でもさせてしまったら大変でしょう。だから見てるの。」 予想外の返事だったから、今でも覚えている。