がばい旋風・佐賀北高校の優勝で幕を閉じた夏の甲子園大会の1週間後、蒲郡でもうひとつの甲子園大会」があった。「SG第53回モーターボート記念」。競艇の話である。このレースは全国の競艇場から選ばれた選手が頂点をめざすことから「競艇界の甲子園」といわれているのだ。全国の精鋭が火曜日から予選を戦い、日曜日の優勝戦で1位になった選手が王者となる。
筆者は番組収録のため、準優勝戦が開催された土曜日に競艇場に足を運んだ。蒲郡競艇場は全国でも数少ないナイター設備のある競艇場で、カクテル光線の下、本家甲子園に負けない白熱した戦いが繰り広げられた。9Rは4号艇・市川哲也がスタート直後の1マークでまさに神業のようなツケマイ(=内側から切り込んで抜く)を決めて観客をうならせた。11Rは地元愛知の赤岩善生と、がばい旋風再現なるか佐賀の上瀧和則の2着争い(2着までが優勝戦に進出できる)が熾烈を極めた。技ありスタートで2番手につけた上瀧。しかし地元のコースを知り尽くす3番手の赤岩がじりじりと差を詰める。2周2マークで赤岩が豪快に切り込んでついに上瀧をとらえる。とらえた瞬間、場内から歓声があがった。(やはり地元は声援が大きい)しかし抜かれた上瀧も喰らいつく。すさまじいデッドヒート。結局最後は赤岩が上瀧を押さえ込んで優勝戦進出を決めた。競艇界トップ選手たちの究極の技術と勝利への執念。観客も筆者も大いに魅せられ興奮した。(最も筆者が興奮したのは仕事の合間にこっそり舟券を購入し、見事3連単1-2-6を的中させたためもあるが…)