スタッフの一言/日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフそんな彼らが取材先で感じたことをつづる

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「個」=「世界基準」?

2008/01/15
今回の担当者

連覇を目指す中日ドラゴンズの「合同自主トレ」がきょうから始まった。
12球団で一番厳しいといわれるキャンプを前に、ある程度の体を作っておくためのものだが、参加したのはたったの23人。主力選手は荒木新選手会長をはじめ、たったの4選手。若手選手も全員参加していない。
不在の選手も別に遊んでいるわけではなく、海外なり、国内なりで各々調整しているというが、何となく???である。5年ほど前には、この「合同自主トレ」に60人近くの選手が参加していた。

「自主トレ」はその言葉とは裏腹に、昔はよほどのベテラン選手以外は半強制的なものだった。特に、調整法が固まっていない若手選手がキャンプで調整不足でケガをしないようにと、先輩選手も参加して一緒にスタートを切っていたのだ。
ところが最近では、そういった風習を踏襲しようとする先輩選手がいなくなり、若手選手も合同練習より自分が支持する先輩の自主トレに帯同し、その選手のノウハウを身につけたいという考えを実践できる様になった。

現在、中日の監督は「自身」を重んじる主義の持ち主であり、一般社会でも「個の時代」というフレーズを頻繁に耳にする時代である。一昔前までは、会社の先輩が「新年会は全員参加」と言っていた様に、ドラゴンズにも「合同自主トレ」への参加を促す先輩選手がいた。だが、今はいない。「集団」より「個」?

「個人の能力が違うのに、全員で同じ事をやる日本の練習はナンセンスだ」と話すアメリカ人選手の話を聞いたことがある。また、元サッカー日本代表監督のトルシェ氏は選手に「赤信号でも車が来ていなければ、自分の判断で渡っていいんだ」と指導したという。
「個」の力を、「個」の責任で上げることが「世界基準」なのかもしれない。
しかし、「個」の力も一つの「チーム」になれなければ意味がない。
4番レベルの打者を毎年の様に増やしていっても、決して優勝できるわけではないのだ。「個」の「集まり」=「チーム」ではない、「1」+「1」=「2」の「集まり」では勝てない事を忘れないでほしい。

ディレクター:N

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