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「アイシン シーホース」

2009/03/28放送

去年、バスケットボール日本一に輝いた愛知県、刈谷市のアイシンシーホース。
今年も205cmの竹内公輔や203cmの桜木ジェイアールなど、リーグ一の平均身長を武器に連覇を狙った。

アイシンと対戦した元NBA選手の田臥は「経験、層の厚さに強さを感じた」と話した。
1月に全日本選手権で優勝したアイシンは、リーグ戦1位でプレーオフ進出。
上位4チームによるプレーオフで、順当に決勝へと駒を進めた。
ファイナルの相手は日立サンロッカーズ。司令塔・五十嵐や205cmの竹内譲次を擁する。
アイシンがリーグ1の得点力を誇るのに対し、日立は最小失点。今シーズンは6度の対戦で3勝3敗。

「正直負けたくない。日立には負けたくないって気持ちはあるんですよ」
日立との決戦に並々ならぬ思いを抱く男、アイシンの司令塔、柏木真介。
柏木は2004年に日立に入団、新人王を獲得。2006年にアイシンに移籍した。
1年目を控えとして過ごした柏木だが、2年目には持ち味であるアグレッシブなプレーで、ポイントガードとしてスタメンに定着した。
柏木は司令塔としてアイシンを全ての大会で優勝に導き、自身もJBLのMVPに選ばれた。

そして今シーズン、連覇をかけたファイナルで古巣と対決。
大学時代の1つ先輩であり、ライバルでもある日立の司令塔、五十嵐。柏木には特別な思いがあった。
「日立にいたころから同じポジションじゃないのに比べられるのが、正直イヤだった。どうせだったら、同じポジションでやって、比べてほしいというのがあった。」

JBLファイナルは5試合のうち先に3勝したほうの優勝。
1勝1敗で迎えた第3戦、2人のポイントガードが序盤から仕掛けた。
五十嵐が決めれば、柏木もやり返す。日本を代表する2人の対決に会場が湧く。
この一進一退の流れを変えたのは、王者アイシンの「経験」だった。
38歳の佐古、32歳の桜木、34歳の小宮が絶妙なパスで得点につなげ、じわじわと点差をつける。
前半終了間際には、柏木も3ポイントを決め流れを確かなものにする。
若手とベテランが見事にかみ合い、点差を一気に広げたアイシンが王手をかけた。

2日後の第4戦。決戦の舞台はバスケットボールの聖地、代々木第2体育館へ。
アイシンは攻撃の基点、桜木のインサイドで、確実に得点を挙げると、その桜木にマークが集まったところで、キャプテン網野が3ポイントと理想的な攻撃を見せる。
だが、その直後、五十嵐のパスから竹内譲次がダンク、日立も譲らない。
局面を破ったのは、休みの日もシュート練習を積んできたアイシンの助っ人、ヤング。
柏木も勝利への気迫を見せ、開始6分で、スタメン全員が得点。バランスの良い攻撃で主導権をつかむ。
アイシンが自分たちのバスケットを貫き、見事2年連続の2冠を達成した。


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