スタッフの一言

日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。

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夏がくれたもの

2008/09/16

今回の担当者

これまで、会社が違ったり、若干媒体の形態が異なれども、ずっと取材にかかわる仕事をしてきた。

・・・・・にも関わらず、実は人見知りが激しく、初対面ならずとも人と話をしたり、話を引き出したりするのが、苦手。(時には、それが苦痛でストレスだったり・・・・)。もちろん、人と出会って話をしてという魅力というのは、理解はしているものの、なかなか正直、簡単ではない。

ともあれ、取材の機会をいただくのは、ありがたい。この夏、それを改めて実感した。

夏の恒例、高校野球取材。恒例と書きながら、実は高校野球の取材は初めての経験。岐阜県の名門、古豪とうたわれる某高校の野球部を最初に訪れたときは、正直、戦々恐々だった。

―――ところが、飛び込んでみれば、監督はじめ、部長、顧問と温かく迎え入れて下さり、そして、選手(部員)の純粋で正直さに、本当に感謝したくなるほどだった。

チームが勝ちあがることを、心から祈った。

けれども、その高校は掲げた目標の1歩、いやもしかしたら2歩手前くらいで、敗退。彼らの夏は終わった。

その後、高校に挨拶に伺いたいと思いながら、ほかの取材に追われて、そのチャンスを見出せないでいた。

甲子園が開幕したころ、その高校の監督から電話をいただいた。内容は、取材をしていただいてありがとうという御礼と、監督自身、就任して間もなくに迎えた夏の大会で不安があったこと、今後の去就についての不安を口にされた。けれども、そのときはこちらも別の取材の合間でゆっくりと話を伺うことができずにいた。

2日後、出社した机の上に、その監督からの手紙が届いていた。A4の便せんに、自筆でびっしり書かれていたのは、悩みながらそれでも監督たらんとする監督自身の誰にもなかなか言えずにいらっしゃたであろう、心の声だった。「誰かには、きちんと聞いていただきたかった」という言葉が添えてあった。

最初は、驚き、戸惑った。けれども、「取材をさせてもらってよかった」―――。
すぐに、そんな気持ちになった。

普通に生活しているだけならば、決して聞くことのできない、他人の心情を、これほど丁寧な言葉で話していただけたことに、深く感謝し、感激した。

暑い暑い夏、日焼けもした。睡眠時間も削った。

それでも、なかなか手にすることができない、すごく特別な何かに巡り合えたことを、感謝してやまない。

ディレクター:A


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