スタッフの一言

日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。

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本音

2008/11/11

今回の担当者

9日の日曜日、女子プロゴルフの取材に三重県の賢島まで行ってきました。日本で唯一行われる全米女子プロゴルフ協会の公式戦で、世界の名だたるトッププロが集まる大会でした。

その最終日、抜群の安定感を見せ、優勝したのは全英女子を制した韓国の申ジエ選手。3日間で15アンダー、2位の服部真夕選手に6打差をつけての圧勝でした。その優勝インタビューでの事、「勝利を確信したのはどこか」という質問に、20歳の申選手は「7番のチップインイーグルです」と気持ち良いほど、きっぱりと答えました。私自身も、そのプレーを観た時に「決まった」と感じたので納得のコメントだったのですが、近くにいた関係者の方たちの間からは「早いなあ」とか「本音だな」など、ぼそぼそとつぶやく声。

なるほど、確かに日本ではあまり聞かない種類のコメントかもしれません。「謙遜」、「武士の情け」が美徳とされる日本の社会においては例え圧勝でも「最後のパットを沈めるまでは・・・」とか「何があるか分からないので最後の最後まで気を抜かず・・・」という本音を隠しながらのコメントが当たり前になっています。武士道で言うところの「残心」です。

日本が誇る美しい精神文化であり、勝負の世界に生きる者の「ある意味での本音」だと思います。が、「へぇ、楽勝に見えたけど、やっぱり最後まで気を抜けなかったんだ」と思う反面、何か「冷める」というか、「またか」と言うか・・・しっくりこない時ってありませんか。

今回の試合は「7番のビッグプレー」が本人も、そして観ている者の多くも「勝負あった」と感じた訳で、それが試合の前半であっても勝負の「肝」だった訳です。世界の猛者が参加している試合での6打差をつけての快勝です。「いや、最後まで・・・」の方がナシじゃないかと。

私たち記者は選手がそれをコメントしなくても、感じなくてはならないのが仕事です。やはり選手には本当の所を話して欲しいというのが記者の本音であります。もちろんリーグ戦のように長い戦いの中では、なかなか相手の弱点や自分の思考など、相手に知られたくない事などは話しにくいものかもしれません。でも、仕事抜きにしても、やはり選手には本音を話してもらいたいものです。私たち記者はもちろん、テレビや新聞でしか知る事ができないファンにとっても、それが楽しみなのです。自分の視点と合っていれば「やっぱり!」と選手に共感でき、ちょっとした評論家気分といいますか、自己満足に酔えます。たとえ違っていても、やはりプロの世界は「凄い!」と改めて今までとは違う視点を持てるようになる、つまり目が肥えていく、これがファンのお茶の間での楽しみの一つなのです。私たちは自分たちが経験しえない勝負(プロ)の世界でどんな精神戦が繰り広げられているかは選手の言葉以外、知る由がないのです。

「プレーで示し、優勝する事」だけがファンへの恩返しと考えているプロがいます。でも、ファンは決してそれだけでは満足しません。せめて、年に何回あるか分からない様な活躍をした時ぐらいは「一生懸命やりました。また次、頑張ります。これからも応援よろしくお願いします。」はナシにして、もっと思い切り喜びを、そして本音を爆発させて欲しいものです。そんなチーム、選手が名古屋にいてもらいたいと改めて思う出来事でした。

ディレクター:N


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