スタッフの一言

日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。

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~恩返し~

2009/03/17

今回の担当者

一ヶ月にも及ぶ長かったドラゴンズ沖縄キャンプも日程を終え、いよいよ3月から本格的にオープン戦が始まりました。
今シーズンの開幕まで残り半月を切り、去年まで在籍した主力選手の抜けた穴を埋める若手たちにとっては最後のアピールの場になっているこの時期。

そんな中、沖縄キャンプで私が注目していたピッチャーの一人がプロ2年目の赤坂和幸投手です。
午後に行われるピッチャーメニューの一つ、とにかく走って走って走りまくる陸上トレーニングでは、沖縄の方言をもじった「残人(のこりんちゅ)」と書かれたオリジナルTシャツを身にまとい、1軍生き残りに懸ける気持ちの強さを体全体で表現していました。

ルーキーイヤーだった去年のキャンプでは2008年入団の4人(山内、谷、赤坂、樋口)の中でただ一人だけ、 肩の故障で一度も1軍の北谷キャンプに行けなかった赤坂投手。
ところが今年は入団2年目の中で唯一、27日間に及ぶ1軍キャンプを完走したのです。
Tシャツに書かれた文字通り、「1軍にいるまま今年はキャンプを終わらせたかった。それができて良かった」と達成できた喜びをキャンプ最終日に語ってくれました。それほど本人にとっては「1軍」への想いが強かったのでしょう。
「去年のケガしていた頃に比べたら雲泥の差です、厳しいですけど最後まで諦めずに1軍を狙います」と力強く話してくれた19歳の背中が私にはとても大きく、そして輝いて見えました。

「ピッチャーとしてプロで勝負したい。指名してくれたドラゴンズに恩返しがしたいんです。」
これは以前、赤坂投手が私に話をしてくれた時の言葉です。
埼玉・浦和学院高時代には高校通算58発を放った超高校級スラッガー。
第3クール3日目の2月19日には森バッテリーチーフコーチから突然「バッティングやるぞ」と思わぬ一声がかかりました。
「久々に気持ちよかったですよ!!」とフリー打撃を行う投手陣の中でサク越えこそありませんでしたが、一際目をひく打球を放つなどやっぱり打撃センスは誰もが認める逸材。

しかし、本業のピッチングではシート打撃など実戦形式練習や練習試合が始まると結果が出たり出なかったりの繰り返し。
満を持して臨んだ2月28日のオープン戦(東京ヤクルト戦)で中継ぎとして初登板をするも、4連打を浴びるなど制球も乱して惜しくも結果を残す事は出来ませんでした。
本人も悔しさをにじませながら「まだまだです」と一言ポツリ。
チームが沖縄から名古屋へ戻った3月初旬からはファームの教育リーグに参加し、1軍への返り咲きを狙っている赤坂投手。
プロ2年目、19歳。彼の信念の強さはプロとしてどこか違うものを感じます。
いつか、本人が話してくれた「恩返し」ができることを私も心待ちにしたいと思います。

ディレクター:Y


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