日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。
153
2010/1/21
今回の担当者
年末・年始のオフシーズン。サッカー・名古屋グランパスの大型補強が話題となっている。ただ、来る人がいるということは、去る人がいることを意味する。去る中には、一時的なレンタル移籍の選手も含まれる。
2010シーズン、J2チームへのレンタル移籍が決まった、ある若手選手が気になっていた。2009年開幕前のキャンプではルーキーながら主力組、プレシーズンマッチはスタメン。その動向に注目が集まったが、開幕ベンチに彼の姿はなく、その後ケガなどもありトップチームからは完全に外れた。
一時期、傍目からは失礼ながら、「クサっている」ように見えた。J2移籍が、それに追い討ちをかけないといいと、勝手ながらレンタル移籍を悲哀の気持ちで見ていた。
が、彼はからっとしていた。「むしろ、ありがたい」。彼はゲームに、そして何よりもサッカーに飢えていると言った。J1のグランパス、トップチームで自分なりのポジションを確立するのは容易なことではない、そこにさらなる補強。グランパスでは練習後の居残り練習が容認されてはいない。当然、試合に出る機会の少ない若手は、練習試合やサテライトがあるとはいえ、ゲーム、そしてサッカーをする機会が少なくなる。彼には、それがもどかしかったらしい。「まだまだ、未熟なところが多いなかで、練習時間、サッカーをする時間を人より多くしないと、トップ選手との間は縮まらない」。だからこそ、J2で少しでもサッカーをする時間が増えるなら、それが何よりも嬉しいのだと、言う。
「僕は、J1のチームでとか、代表選手になるとかそういうこと以前に、とにかく、サッカーを楽しみたいんです。サッカーをしたいんで」。
純粋な気持が、とにかくまぶしく、羨ましいと思った。
晴れ晴れしい門出だった。
ディレクター:A