3月は、年度最後の審議会ですので、この1年を振り返って自由発言の委員会としました。
この中で委員から提案のあった「何故この頃のテレビ番組は面白くないか」については、活発な議論が交わされました。
委員の主なご意見を紹介します。
- 視聴者の意見が、視聴率と連動しているのではないかという気がしている。視聴率は、無視できないが、視聴率を気にしないで、作るべき番組は作る、やるべき報道はやるという姿勢もまた必要ではないかという気がする。
- 昭和40年頃の作り手は、本人がそうした志向を持っていたかどうか別にして、労働組合の問題、日教組の問題、日本は国旗を掲げるべきかとか、民族の問題とか、社会にアピールするようなテーマをやりたがった。ところが、いま入社してくる若い人たちにはそういう意識が全く無い。何か面白いじゃないかというだけで企画がどんどん出てくるという傾向になっている。
もうひとつは、放送局でものを作る人たちの意識が変わってきた。それは、社会がそうしたことを求めなくなってきたからだ。簡単な形の男と女の愛憎だけに終わってしまうことが多くなった。
- 今後、テレビパワーが復活するかというと、結構難しい時期に来ている。デジタル化していく中で、その作品の密度とか質が本当にこれから上がるような状況になるかというと、かなり否定的なのではないかという気がする。作品の質と視聴率が連動していないことが判った。たとえば、「SUBU」はすごく質の高い手間暇かかった作品だが、視聴率が取れない。そうしたものはいっぱいある。作品がもつ質と売れる売れないということが全く関係なくなっていく。解決の糸口は見えないが、すごく大きな問題だ。
また、テレビが時代を先取りしつつ、社会に対してアピールするような作り方ができるか。いまテレビは、先陣を切って何かを取り上げるというのではなく、ほかのメディアが取り上げたものを、テレビ的な味付けをしつつ、ビジュアル化している。
- ワイドショーやニュースをよく見るが、朝日放送が18年前に、既に拉致問題をスクープしていた。当時はみんな本気にしなかったし、取り合わなかった。しかし、こうしたものを見ているとテレビジャーナリズムの良心というか気概を感じる。こういうものが際にやられることがないようにと思う。
以上のようなご意見でした。
これに対し局側から、「デジタル化になっても、やっぱり総合編成でいかざるを得ない。多メディア時代になって情報のツールは増えるが、向こう10~20年、間違いなく基幹メディアは、地上波だと思います。良い悪いは別としても、視聴率がある以上、視聴率と売り上げが完全にリンクしており、経営の根幹をなすもので、無視するわけにはいきません。」との発言がありました。
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