相続登記義務化「知らない」人は約7割 手続きしないと過料も…法務局が広報活動を強化 名古屋

2024年7月2日 16:37
不動産を相続した際の登記の申請が4月1日から義務化されました。正当な理由がないのに一定期間手続きを怠ると過料の対象になります。相続登記の義務化が浸透しているとは言えない状況に、名古屋法務局は様々な手段で周知を図っています。

所有者不明の不動産が増加

相続登記が義務化された背景は?
 相続登記は不動産(土地や建物)の所有者が死亡した場合、相続した人が法務局に届け出て、「所有権登記名義人」を変更(移転)する手続きをいいます。

 これまで相続登記は任意だったため、不動産登記簿を見ても所有者が分からない不動産や、所有者に連絡がつかないケースが増加。国土交通省の調査によると、全国で所有者が分からない土地は九州本土の面積に匹敵し、今後高齢化が進んで死亡者が増えることでさらに深刻化する恐れがあります。

 また、所有者が分からない土地や建物が放置されることで、復興事業や都市開発などが円滑に進まないなど社会問題も発生しているということです。
 

相続した際の登記の申請が4月1日から義務化

「正当な理由」がないと過料が科せられることも
 これらの問題を解決するために、国は不動産登記法を改正。4月から「不動産を取得した相続人は取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する」ことが義務化されました。この改正より前にすでに相続している不動産も義務化の対象となります(この場合、2027年3月31日までに登記申請が必要)。

 「正当な理由」がないのに期限までに手続きをしないと、10万円以下の過料が科せられることがあります。

 また、期限までに手続きをするのが難しい場合、自らが相続人であることを法務局に届け出れば相続登記の申請義務を果たしたとみなされる「相続人申告登記」の制度も新たに設けられました。

◇「正当な理由の一例」
・遺言の有効性が争われている
・相続人が経済的に困窮している
・相続人が重病
・相続人が極めて多数で、登記の申請に必要な書類の収集に多くの時間がかかる など
 

ファイティングイーグルス名古屋の試合会場で広報活動(提供:名古屋法務局)

義務化「知らない」と答えた人は約7割
 法務省が実施した調査(本人、配偶者または親が不動産を所有している20代以上を対象に2023年8月に実施)では、相続登記の義務化を「よく知らない」「全く知らない」と答えた人は67%でした。

 これを受け、名古屋法務局は「制度を知ってほしい」「法務局に対して固いイメージを持たれることが多いので、少しでも身近な存在に感じてほしい」と、バスケットボールのBリーグの試合会場や各種イベントでのチラシの配布、講演会の実施などの広報活動を強化していました。
 

図書館の返納期限票(提供:名古屋法務局)

「早めに相続登記を」
 また、名古屋市内の図書館で配布される返納期限を記したレシートに、不動産登記推進イメージキャラクター「トウキツネ」とともに制度の要点をまとめたウェブサイトにつながる2次元コードを添えて、親世代だけでなく子どもたちにも興味をもってもらう取り組みをしていました。

 名古屋法務局は「代を重ねるごとに関係者が増えて相続は複雑化する。負の連鎖を止めるためにも、法改正を機会に早めに相続登記をしてほしい」と呼び掛けています。

(メ~テレ 中村潤也)
 

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