2010年11月29日(月) 深夜1時59分~3時9分放送
 
ヒバクコク
~切り捨てられた残留放射線~
 
スタッフのつぶやき
 

ディレクター 安藤則子

私たちが始めてお会いした時、被爆者の甲斐昭さんは77歳でした。その甲斐さんは、今年の12月に84歳になります。国を相手に闘い、原爆症の認定審査のあり方を大きく変えさせたつわものでしたが、だんだんと体が弱ってきました。猛暑だったこの夏を避けて、秋になったら広島に行きたいと仰っていたのですが、残念ながら、体調が良くなく希望はかないませんでした。

甲斐さんは残留放射線の被爆者です。アメリカが原爆を投下してから65年がたちますが、その被害の実態は今なお未解明です。私たちが、残留放射線と原爆症の問題を追いかけ続けてこられたのは、甲斐さんを始め、被爆者の皆さんの証言、事実が取材の柱になっていたからだと思います。今回の放送は、なぜ残留放射線の影響が無視されてきたのか、その背景を中心に構成しましたが、核の傘の下で、残留放射線を切り捨ててきた被爆国・日本は、被爆者の方々だけでなく、世界中の次世代に対しても、大きな過ちを犯したのではないかと思っています。

残留放射線は核兵器だけでなく、原子炉の問題にも関わっています。その安全基準は、 被爆者のデータが基礎になっているからです。

 
 
放送内容について