ディレクター中村春菜
私がこの取材に加わったのは、エブリンさんが高校2年生になった去年4月でした。
初めてエブリンさんと教室で会ったとき、ガチガチに緊張している自分に対し、彼女は屈託ない笑顔で迎え入れてくれました。
国際試合の日本代表選手として選ばれるエブリンさんですが、まだまだ成長途中の選手です。
技術面もそうですが、取材を始めたころは、試合中でも一度くじけるとそれを引きずることがよくありました。
練習中も井上コーチが、「エブリン!!」と他の選手より多く叫んでいたように思います。
それでも1年を通し、彼女の目つきがどんどん変わっていくのが分かりました。
泣き虫で周りに支えられていた彼女が、3年生の引退を前に周りを支える側に変わったのは、まぎれもなく彼女が成長した瞬間でした。
取材を通して感じたのは、エブリンさんの言葉には迷いがないということです。
バスケへの思い、家族への思いなど、一言一言に彼女の思いが詰まっています。
取材が終わったあと、「国籍が日本に変わったからといって、それで肌の色が変わるわけでもないし、今までも、これからも私は私です。何も変わらないですよ。」とまっすぐな目で言ってくれました。この一言が彼女のすべてを表していると思います。
周りを引き寄せる魅力とパワーがあるエブリンさん。
そこには、自分の苦労を惜しまず、エブリンさんに愛情を注いできた母親フランシスカさんの存在が欠かせません。
今後も、何らかの形で彼女たちを見守っていけたらと思います。
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