「木造住宅密集地域」に地震・火災で甚大な被害の可能性 リスク抑える知恵と工夫

2024年1月22日 19:25

能登半島地震では、建物が密集している地域で大きな被害がありました。名古屋でも、地震や火事などの際に被害が心配される木造住宅密集地域があります。

 1日に発生した能登半島地震。石川県輪島市では約200棟が燃える火災が起きました。

 現場は「朝市通り」と呼ばれる観光名所で、狭い範囲に木造の古い建物が並び、地震で大規模火災を引き起こしやすい「木造住宅密集地域」でした。

 木造密集地域でのリスクをどう減らしていくのか、名古屋市でも対策が求められています。

 名古屋市内には市が指定した「木造住宅密集地域」が11カ所あります。

 その中の一つ、瑞穂区にある御剱地区は約2500軒の住宅があります。古くからの住宅が並び、高齢化も進んでいる地域です。

 

道幅2メートル弱で木造の家屋が並ぶ

消防車も入れない「細い道」

 ここに70年前から暮らし、地域の消防団にも所属している新美利夫さんにお話を伺いました。

Q.輪島市では同じような木造の建物が燃え広がったが?
「決して、他人事ではなくて、私たちも木造住宅の密集地がたくさんあるので、もしそこで、火事がおこれば、輪島と同じようになるのではと心配している」(名古屋市瑞穂区 御剱消防団 新美利夫さん)

 実際に、新美さんが特に危ないと感じる場所を案内してもらいました。

Q.かなり細い路地に入りましたが、このあたりの危険性は?
「消防車も入ってこられないので、消火が遅れるという問題が出てくる。昔の区画整理をやっていない状況で細い道や曲がりくねった道がずっと続いている」(新美利夫さん)

 幅が2メートル無いぐらいの狭い道路には、木造の家屋が立ち並び、火が燃え移りやすいといいます。

 

ブロック塀が避難の妨げになる可能性も

ブロック塀が倒れれば下敷きになる危険性も…

 また空き家も多く、避難の際に気を付けなければならないこともーー

「ブロック塀が地震の時に倒壊してきたら、避難道を塞いでしまう」(新美利夫さん)

 ブロック塀が倒れれば、下敷きになる危険性があるだけでなく、避難の妨げになる恐れもあります。

 

初期消火用の機材「スタンドパイプ」

地震による火災に備え「スタンドパイプ」

 この地域では、地震による火災に備えて「スタンドパイプ」と呼ばれる初期消火に使う機材が27か所設置されています。消火栓にホースをつなげられ、住民でも放水活動ができます。

Q.消防車が入ってこられない場所だからこそ?
「住民の方に機材を使ってもらって、初期消火をしてもらうためのもの」(新美利夫さん)

 使うには訓練が必要ですが、この地域では年に1回ほど訓練機会を設けているといいます。

「ここらへんも高齢者が多いので、一人で避難できるのかどうか、これから区とも協力し合って、介護が必要などわかっていると、避難の時に参考になる。細かいところもやっていかなければならない」(新美利夫さん)

 

名古屋市 市街地整備課 鈴木明廣 課長

市は補助金の活用を呼びかけ

 こうした「木造住宅密集地域」の課題を解決するため、名古屋市では補助金の活用を呼びかけています。

「古い木造住宅を取り壊すときの費用の一部を助成させていただく」(名古屋市 市街地整備課 鈴木明廣課長)

 住宅として使用している木造住宅を取り壊す場合は、その費用の一部を補助します。

 対象は、古い耐震基準に基づいて建築された、1981年5月までに建てられた木造住宅です。

 また道路に面する高さ1メートル以上のブロック塀などを撤去する場合も、費用の一部を補助しています。

 

道路を利用する住民

市は啓発活動にこれまで以上に取り組む姿勢

「救急車両や緊急車両が通れるような空間の確保を、進めていく必要があると考えています」(鈴木明廣 課長)

 道幅4メートル未満の狭い道路に面した建物を建て替える際、建築基準法に基づいて、一定の用地を確保するよう義務付けられています。

 名古屋市では、その用地を一般の通路として整備する事業について補助を行っています。

 しかし、現実には整備はあまり進んでいないといいます。

「課題としては今現在、木造住宅密集地域11地区あり、補助の対象を11地区に拡大したのは、令和3年からということで、啓発活動にはこれまで以上に取り組んで一人でも多くの方に助成制度を活用していただくように取り組みを進めたいと考えております」(鈴木明廣課長)

(1月22日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

 

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