ポスタージャックや奇抜な政見放送…”物議”醸した都知事選、東海地方の選挙に影響は

2024年7月8日 19:51

現職・小池百合子知事の3選で幕を閉じた東京都知事選。ただ、今回は過去最多の56人が立候補し、ポスタージャックや奇抜な政見放送など、”想定外”のことが続きました。今後、東海地方でも行われる選挙への影響はないのでしょうか?

 7日に投開票された東京都知事選挙。

 過去最多の56人が立候補した“七夕決戦”を制したのは、現職の小池知事でした。

 今回の都知事選をめぐっては、選挙掲示板に同じポスターが大量に貼られたり、一部のポスターの内容が不適切なものであったりするなど、物議を醸しました。

 これまでに見られなかったような経緯をたどった今回の選挙について、地方自治に詳しい専門家に聞くと――

Q.“奇抜な選挙活動”が注目を集めたが?
 「今回の選挙はいろいろ出来事があったと思う。ポスターが当選目的とはいえないような仕様、こういったところは今後しっかり対処する必要があると思う」(名古屋市立大学人文社会学部・三浦哲司准教授)

 

都道府県知事の選挙

専門家「300万円以上の広告効果が…」

 「公職選挙法」では、選挙を利用した売名行為などを防ぐため、供託金制度が設けられています。

 都知事選の場合は、立候補者が事前に「300万円」を預けていて、選挙の結果、得票率が10%未満であれば、供託金は没収されます。

 今回の都知事選では、56人中、得票数が4位以下の53人が供託金を没収される見込みです。

 三浦准教授は、このうち一部の候補については、こんな考えがあったのではないかと指摘します。

 「300万円以上の広告効果が得られると期待を持って立候補。結果としては掲示板のスペースさえ足りなくなるような状況になってしまった」(三浦准教授)

 

学生党 西田礼孝さん

東海地方の選挙にも影響はある?

 一方、名古屋市では来年春、任期満了に伴う市長選挙が予定されていますが――

Q.都知事選で奇抜な選挙活動が注目を集めたが、名古屋市長選でも同様のことが起こりうるか?
 「可能性はゼロではないとは思います」(三浦准教授)

 立候補を現時点で表明しているのは、愛知選挙区選出の大塚耕平参院議員(64)。

 そしてもう一人、学生党の西田礼孝さん、27歳。西田さんは、今年の春に中京大学を卒業。去年の名古屋市議選では、現役の大学生として出馬しました。

 「若い人が出ていかないと政治は変わらないという思いがあるので出る」(西田礼孝さん)

 市議選の供託金は50万円。アルバイトなどで捻出し、選挙活動に臨みましたが、結果は候補5人中最下位で落選。ただ、1401票を獲得し、供託金は没収されませんでした。

 過去の経験から、西田さんは、供託金の金額を下げて、より多くの人が出馬するべきだと考えています。

 「若い人が出馬をするためにはやっぱり供託金を下げてもらわないと、出にくいなというのが1つ現状としてある。今後若い世代がどんどん出てきて、地盤を引き継いできた人たちをいかに崩せるかというのは面白い選挙になってくる」(西田さん)

 

過去最多の立候補者数やポスター問題などが注目を集めた都知事選挙

”売名行為”かどうか…供託金制度で線引きできる?

 今回の都知事選、投票率は60.62%と前回を5ポイント以上、上回りました。

 過去最多の立候補者数。ポスター問題などが注目を集めたことも、投票率の上昇につながったと西田さんは見ています。

「いろんな人が出ることによってそれだけ注目度が上がりますから。売名や批判の声がある中で、今まで選挙に対して興味がなかった人に対してリーチができたのかなと」(西田さん)

 三浦准教授は、”売名行為”かどうかを供託金や制度で線引きすることは難しいと指摘します。

Q.今回のようなことが増えると供託金を引き上げて“ハードルを上げる”議論も?
「供託金を300万円から400万円にしたところでこの問題が解決できるかと言ったらそうではない。当選とは別の目的でポスターや掲示板を活用してしまうところをどう取り締まるかをしっかり考える必要がある。供託金を没収される人が売名だとは限らない。制度そのものを見直すような時期に来ている」(三浦准教授)

 

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