日本に「活断層」は2000以上 活断層密集地帯には「断層面」を観察できる場所も【暮らしの防災】
2024年8月11日 14:01
活断層は「内陸型地震」を起こす原因です。日本では「活断層」が2000以上も見つかっています。東海地方とその周辺には約180の活断層があり、全国でも有数の活断層密集地帯です。
手前から奥に向かって坂に…その差は6m(岐阜県本巣市根尾)
岐阜県に活断層を見られる場所が
東海地方には活断層そのものを見学できる場所があります。岐阜県本巣市根尾にある「根尾谷地震断層観察館」です。
ここでは1891年の濃尾地震を起こした「根尾谷断層」が見られます。
濃尾地震はマグニチュード8.0、日本の内陸地震では最大級です。その活断層を見られます。
手前から奥に向かって坂になっています。その差は6m。画面手前が地震が起きる前の地面、奥が地震でせり上がった地面です。
この段差が根尾谷断層が地表に表れた部分です。「地表地震断層」と言います。
この断層を横切りにした「断層面」を観察できるのが、根尾谷断層観察館です。
根尾谷地震断層観察館
活断層の断面を観察できるように
「根尾谷地震断層観察館」の中に入ると、活断層の断面を観察できるようになっています。
この段差が地表に表れた活断層(地表地震断層)です。こんなにしっかり観察できる施設は、なかなかありません。
岩盤がズレる「力」は地球の中から
断層とは?
「活断層」の前に、まず「断層」について説明します。
地球のマントル運動で、地表付近の岩盤はゆっくり動いています。その動きで岩盤同士がぶつかりあい、時としてそこでバキッと割れます。
そのショック(衝撃)が「地震」で、割れた場所が「断層」です。
さきほどの根尾谷断層は、画面左側と右側の岩盤がぶつかり合い、画面中央あたりでバキッと割れて「断層」ができ地震が起きたことになります。
活断層は4種類
活断層は4種類
断層に「割れ癖」がつき、そこで再び地震が起きることがあります。このように将来も繰り返して活動すると考えられる断層が「活断層」です。
活断層の定義にはいくつかあり、学問では一般に「約200万年前以降に活動した証拠のある断層を活断層」としています。
一方、原子力発電所立地にかかわる基準では、耐震設計上考慮する活断層は「過去12〜13万年間に活動したことが否定できないもの」と定義されています。このように活断層の定義はケースによって変わります。
地震のニュースでよく「今回地震を起こした○○断層は逆断層で…」と言います。この「逆断層」とは活断層の種類です。
活断層には「正断層」「逆断層」「左横ずれ断層」「右横ずれ断層」の4種類があります。地盤への力の加わり方で「割れ方」が変わり、この4つに分類されます。どれも危険度は同じです。
私たちが「逆断層」という言葉をよく耳にするのは、日本には逆断層が多くあるからです。
活断層がどこにあるのかは県のHPなどで確認できます。家や学校・職場の場所やその近くに活断層があるのか?その活断層はどんなものなのかを把握しておくといいでしょう。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。