東海道新幹線の計画運休、効果的な「発表のタイミング」は? 台風7号では36時間前に発表

2024年8月16日 19:38

東海道新幹線は16日、台風7号の影響で東京~名古屋間で終日運休となりましたが、名古屋駅に大きな混乱はみられませんでした。その背景には効果的な「発表のタイミング」があったようです。

 台風の接近に伴い、東海道新幹線は東京~名古屋間での運転を終日取りやめています。名古屋~新大阪間は「こだま」を上下線で1時間に各2本程度と大幅に本数を減らして運行しています。

 「こだま」号に乗って京都から名古屋に戻ってきたという人は。

 「乗ってきた車両は全部自由席だったが全部埋まっていて、車両の中間のところに立っている人がいて…(混乱している様子)ではなかった」(京都から戻った人)

 JR東海が16日の運休を発表したのは14日のことです。2日前と早い段階で発表されたためか、駅周辺で混雑・混乱している様子は見受けられませんでした。

 前もっての運休の発表について、駅の利用者からは「早めの方がありがたい」「ホテルをとるなど事前に対応できる」との声がありました。

 

東海道新幹線(資料)

「計画運休」の判断に専門家は

 お盆の予定変更を余儀なくされた人たちも多くいた今回の「計画運休」の判断について、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんに話を聞きました。

「今回の計画運休は利用者の安全を守る上で、とるべきだったと思う」(梅原さん)

 鉄道事業者が一番防がなくてはいけないのは、列車が「途中で立ち往生すること」だと話します。

「乗客が停電しているような中で長時間閉じ込められてしまう、これがやはり一番避けなければいけないこと。何とか駅にたどりついたとしても、東京駅とか名古屋駅までたどりつけばいいが、途中の静岡県内の駅に着いても、そこから先の交通手段もなければ、宿泊施設もないとなると、そこでまた立ち往生ということなる」(梅原さん)

 

計画運休の発表のタイミングなどを定めたタイムライン

国交省のタイムラインよりも早い決断

 こうした事態を避けるために出された「計画運休」。

 計画運休の発表のタイミングなどを定めたタイムラインについては、2019年、国交省から鉄道各社に、事前に作成するよう要請がありました。

 そこには、48時間前に「運休の可能性」、24時間前に「詳細な運転計画」の発表が望ましいと書かれています。

 今回のケースでは、JR東海は16日の始発から36時間前の時点で運転を取りやめることを確定させ、発表しています。

 国交省のタイムラインよりも早い決断となりました。

「お盆中のUターンラッシュにさしかかるような時は(計画運休の判断は)できるかぎり早いほうがいいので、少なくとも1日は予定を繰り上げて移動ができるようにした方がいい。前日だと何もするすべがないという人が大量に出てきてしまい、結局駅に来てしまうということがあるので、それで2日前にしたのだろうと思う」(梅原さん)

 

鉄道ジャーナリストの梅原淳さん

17日以降も「余裕を持って行動を」

 去年もお盆の時期に行われた「計画運休」。

 8月15日に名古屋~岡山間で終日運転を取りやめた翌日、静岡県で大雨が降ったため2日間にわたりダイヤが大きく乱れました。

 明日以降、私たちが移動する際、気を付けることは…。

「(翌日)線路に被害があり、また列車が遅れる。それから去年のように局地的に大雨があったとかもあるので、回復した当日は、そもそも前日に移動できなかった人を含めてたくさんの人が移動しようと集まりますから、できればそのまた次の日ぐらいまで余裕を持ってほしい」(梅原さん)

 

東海道新幹線が大雨に弱い理由は“構造”

東海道新幹線の運転見合わせが多い理由

 梅原さんによりますと、東海道新幹線は他の地域を走る新幹線に比べ、運転見合わせの判断をすることが多い傾向にあるといいます。

 その理由のひとつには、「東海道新幹線の構造」にあるといいます。
   
 ■東海道新幹線は“大雨に弱い”

 ・1964年に開業した東海道新幹線は、盛り土の上を走ることが多い。
  
  ⇒盛り土は大雨に弱いため。

 ・開業した1964年には、コンクリートでつくる技術が十分に確立していなかった。

 JR東海によりますと、17日以降の東海道新幹線の運行情報については設備点検などを行ったうえで、17日の午前5時ごろに発表するということです。最新の情報はホームページなどをご確認ください。

 

これまでに入っているニュース