土砂災害には3つの種類 こんな前兆現象には要注意【暮らしの防災】
2024年10月13日 14:01
土砂災害は、土が大量の水を含んでゆるくなり一気に崩れる災害です。日本では、平均で大小含めて1年に1000件くらいの土砂災害が発生しています。山地が多く(国土の約割)平地が狭いため、山の斜面や谷の出口など「土砂災害の起こりやすい場所」にたくさんの人が住んだり、土地を利用したりしています。このため土砂災害の被害にあいやすいのです。
土石流 国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所HPから引用
「これまで土砂災害がなかったから大丈夫」は通じない
最近、これまで崩れたことがなかった場所で土砂災害が起きています。例えば「先祖代々ここに住んでいて、この裏山はどんな豪雨の時も崩れなかったので大丈夫」と言ってきた場所で、土砂崩れが起きています。
以前も指摘しましたが、雨の降り方が変わってきています。線状降水帯など、すごい量の雨が集中的に、しかも長い時間降るようになってきています。過去に大丈夫だった場所も、とんでもない雨量で一気に緩むことがあります。「これまで大丈夫だった」が通用しない時代になっています。
土砂災害には、大きく分けて3つの種類があります。
【土石流】
山や谷の土・石・砂が川の水と一緒に流れてくるものを土石流といいます。時速20km~40kmのものが多く岩を動かしてしまう程の力を持つ事もあります。
地滑り 国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所HPから引用
土砂災害の種類 地すべり
【地すべり】
緩やかな斜面などですべりやすい地層に雨水などがしみこみ、地下水が溜まり、そこから上の地面が動く事を地すべりといいます。
がけ崩れ 国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所HPから引用
土砂災害の種類 がけ崩れ
【がけ崩れ】
がけ崩れは、大雨や長雨で地面に水がしみ込んで地盤を弱めて起きるものですが、地震で起きる事もあります。
日頃からハザードマップの確認を
こんなときは避難しよう!
【土石流の危険】
・山全体がうなっているような音がする
・川の流れが急に濁った→土石流の危険
・上流から根がついたままの木が流れてきた
・雨が降り続いているのに川の水が減った
【がけ崩れの危険】
・がけから小石がパラパラと落ちてきた
・がけに割れ目ができた
・がけから水がわき出てきた
以上のような前兆現象があるとされています。このような現象に気づいた時は、すぐに安全な場所に避難してください。
<ハザードマップをチェック>
土砂災害についてのハザードマップが行政機関から出ています。危険な場所=赤、注意が必要な場所=黄色に塗られています。土砂災害が発生した場所はほとんど色づけされていた場所で、確度の高いマップです。
大雨の際は、そこに住んでいる人は早めの避難が必要です。あらかじめ、家族で話し合い避難経路、避難場所を確認しておく必要があります。
とは言え、最近は「思いがけない場所」が崩れています。がけや急な斜面、渓流の近くなどに住んでいる人は、大雨の時は警戒が必要です。
「土石流危険渓流」の看板
山あいの渓流や沢に注意
土石流と言うと「砂防ダムがある川」で発生するだけと思いがちです。しかし山あいの住宅の“裏山から流れ出す細い沢”でも土石流は起こります。
そのような場所には「土石流危険渓流」という看板があります。キャンプや釣り、ハイキングに行ったとき、このような看板を見た時は注意してください。特に雨が降っているときは要警戒です。
警報類
警報類
土砂災害への警戒を呼びかける「警報・情報」が2つあります。「大雨警報(土砂災害)」と「土砂災害警戒情報」です。この「警報・情報」が出たら避難行動に移ってください。
山と反対側の2階に避難
山と反対側の2階に避難
特に高齢者や要支援者の場合は、早めの避難が必要です。家が山ぎわに建っていて、外は豪雨などで避難所へ移動ができない場合は、山と反対側の2階に避難してください。1階は危険です。
雨がやんだあとでも、土の中に残っている水で“ジワジワゆるんで”土砂災害が発生することもあります。雨がやんでも警報・情報が解除されるまで気を抜かないでください。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。