「お母さんだけがやることじゃないと知って」“家事をする人の気持ちがわかる”商品を名古屋の中学生が考案

2025年2月12日 17:19

子どもたち自身が考えたビジネスを発表するコンテストで、名古屋に住む中学1年生が優勝しました。考えたのは「家事をする人の気持ちが100%わかる」という商品。一体どんなものなのでしょうか?

 名古屋市内に住む下田大輝さん。

 部活に勉強に打ち込む中学1年生ですが、ある「プロジェクト」の発案者でもあります。

 ビジネススクールが主催して去年開かれた「子どもたち自身が考えたビジネス」コンテスト。

 ビジネスの実現性などが審査され、全国40人近い出場者の中から見事、優勝しました。

 「3位くらいを狙って出場したんですけど、1位で発表されて驚きました」(下田大輝さん)

 大輝さんが考えたビジネスとは――
 
 「母の気持ちが100%分かる『家事のあれこれ かるた』です」(大輝さん)

 

無数にある「家事」をユニークな絵とともに紹介する「かるた」形式に

無数にある「家事」をユニークな絵とともに紹介

 どんな内容かというと――

 「ごみ捨ては 集めるところからが 始まりだ」
 「洗い物 乾かしてから 元の場所へ戻すまで」

 他にも 「洗濯物 ポケット中身を確認しよう」など家事をしていると「あるある」と感じる人も多いのでは!?

 「料理」「洗濯」「掃除」だけではなく、名前が付けられていないようなものも含めて、無数にある「家事」をユニークな絵とともに、紹介する「かるた」形式にしたんです。

 

「家事かるた」を考案した下田大輝さん

日々家事をこなす、お母さんの“すごさ”に気づく

 この「家事かるた」をつくるきっかけは、大輝さんの家でのルールにありました。

 Q.どうしてお茶わん洗いを
 「お小遣いをもらいます」(大輝さん)

 大輝さんは、皿洗いや風呂掃除など「決められた仕事をしたら“報酬”がもらえる」というルールを家族と決めています。

 「報酬は毎月の基本が2500円。それ(担当の家事)をやらなかったら、1回20円ずつ減給されます」(大輝さん)

 Q.実際は
 「たまにやらないときがあるので、もらえるのは2000円くらい」(大輝さん)

 担当の家事以外にも、週末に食事をつくるなどして、追加の“報酬”をもらいます。

 時には、部活で疲れて担当の家事ができない日も。

 そのなかで、日々家事をこなす、お母さんのすごさに気づいたといいます。

 「家事を毎日続けるというのは、細かいところまでやっていてすごいと思います。家事をちょっと甘く見てる人も多いと思います」(大輝さん)

 

お母さんたちにアンケートを実施し、約60件の意見が集まる

知り合いのお母さんたちにアンケートを実施

 大輝さんが積極的に家事を行うようになり、お母さんは――

 「だいぶ楽になってゆっくり過ごす時間が増えました」(母・香織さん) 

 皆で助け合える幸せな家庭を増やしたい!コンテストでの優勝を受け、実際に商品化へ向けた動きが本格化しています。

 今回は「家事で理解してほしいこと50種類」を「かるた」にします。

 知り合いのお母さんたちにアンケートを実施。60件近い意見が集まりました。
 
 Q.集まった内容は
 「『洗濯物の脇まで乾いているのか確認してほしい』というのと、『トイレットペーパーがなくなったら芯を捨てて新しいのをつけて』とか、やり残していることが多いから、そこをやってほしいという意見が多かったです」(大輝さん)

 

愛知県清須市にある印刷会社で打ち合わせをする大輝さん

理想のかるたを目指し、価格交渉も

 1月、大輝さんが学校終わりに出向いたのは、愛知県清須市にある印刷会社です。

 「お時間いただいてありがとうございます」(大輝さん)
 「実際どんなふうに考えているのかなと」(吉田画房 吉田政史社長)
 「きょうは紙の品質を…」(大輝さん)

 イラストはデザイナーに依頼。

 百人一首のような、和風で懐かしく手に取ってもらえるようなものに仕上げたいと、かるたに使う紙の品質について打ち合わせをします。

 「厚みはこれくらいのものを考えていました。本当の『かるた』だともうちょっと分厚いかもしれない」(吉田社長)
 「見積もりの金額でもうちょっと紙を厚くできますか?」(大輝さん)
 「厚みはもうちょっと厚くして?金額はこのまま?そこら辺はちょっと一回、いろいろと試算してみます」(吉田社長)

 理想のかるたを目指し、価格交渉も。1時間にわたる打ち合わせが終わりました。

 「交渉事がここでくると思わなかったので、いい社会人になるのではと思いました。お客さんが満足するものを納品することを大事にしているので、こちらも精いっぱい努力してお手伝いすると」(吉田社長)

 となりで見守っていたビジネススクールの講師、近藤さんは――

 「大人との交渉や、良い人と関わる時間が彼にとって財産になるので、学校では絶対に学べないので、いい機会になるなと」(ビジネススクール講師 近藤賢一さん)

 

家事かるたを多くの人に届けたいと話す大輝さん

「多くの人に届けて、楽しい家庭を増やしていきたい」

 デザイン料や印刷代など、必要経費は「30万円」の見込みに。

 クラウドファンディングで支援を呼びかけたところ、2月12日時点で、目標を超える32万円が集まりました。

 「家事かるた」の商品化にむけ、大きく前進です。

 「家事はお母さんだけがやることじゃない、ということを知ってほしいです。家事かるたを多くの人に届けて、楽しい家庭を増やしていきたいです」(大輝さん)

 

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