全国的に進む少子化による学校の統廃合、2つの中学が合同で授業 学校を存続させる取り組み

2023年7月19日 17:53
少子化による学校の統廃合が全国的に進むなか、ユニークなやり方で、学校を存続させている自治体が岐阜県にあります。全国的にも珍しいという取り組みの現場をのぞいてきました。
 山県市立伊自良中学校は岐阜市中心部から車で約30分の山あいにある、全校生徒72人の学校です。

 19日午前9時すぎ、伊自良中学校に2台のバスが来ました。

 やって来たのは、隣の美山中学校の2年生33人。

 19日は初めて、2つの中学校の生徒が合同で授業を行います。

 会場の体育館に入ると、伊自良中の2年生23人と合流しました。

 初めての合同授業とあって、みなさん少し緊張した表情です。
 
 2時間目と3時間目を使って、「総合」の授業を行います。

 課題は音楽を聴いて、「美とは何か」というイメージを数人のグループで1つの作品にする、というもの。

「感じたことを絵に表す感じかな」(生徒)
「山と朝だから…」(生徒)
 

山県市教委 服部和也教育長

合同授業の背景には「少子化」の問題
 隣の学校との「合同授業」が行われた背景には少子化の問題があります。

 山県市には中学校が3つありますが、うち2つ、伊自良中と美山中は、各学年1クラスもしくは2クラスです。

 今後も生徒数は減少していく見通しですが、山県市は学校の統廃合は行わない方針を決めています。

「山県市としては統廃合しなくても、いろんな方法があるんじゃないかという立ち位置をまずとりました。子どもの数が減っていく中で、どの授業を受けても良いという仕組みを作りました」(山県市教育委員会 服部和也教育長)
 

4月から取り組む「山県方式」

学校の存続を模索するなかで始めた「山県方式」
 学校の存続を模索するなかで、4月から始めたのが「山県方式」と呼ぶ新たな教育システムです。

 統廃合する場合は、どちらかの学校を廃止して、一つの学校に通うようにしますが、山県方式では学校を存続させたまま、生徒がお互いの学校を行き来して授業を受けるというもので、全国的にも珍しい取り組みだといいます。

「山県市のきめ細やかな教育は今後も大事にしてほしいというのが、(保護者への)アンケート調査からも見えた。今、山県市がやろうとしているのは (学級を)小さくも大きくもできるという仕組みなので、親も子どもも色んな方が満足できる仕組み」(山県市教委 服部教育長)
 

3時間目になると生徒も打ち解ける様子が

「他校との交流がすごい新鮮で面白い」
 合同授業では3時間目になると、生徒たちからも打ち解けてきた様子が見てとれます。

 生徒に合同授業の感想を聞くと――

「それぞれ違う価値観があって良いと思いました」(美山中2年生)

Q仲良くなれた?
「なれました!」(美山中2年生)
「他校との交流がすごい新鮮で面白いと思った。名前を呼んでみるとか割と難しいことなので、自己紹介したけど、それから一歩踏み出してみるのが割と難しかったかな」(伊自良中2年生)
 

教える側の先生も手ごたえを感じる

将来的には市内すべての小中学校を一つの学園とみなす構想も
 教える側の先生も手ごたえを感じていたようです。

「思ったより自然に思ったことをだんだん話せるようにはなってきたなと。子どもの人数が少なくなっている今だからこそ、こういう機会を 採り入れていくことは大切かなと思います」(伊自良中2年生担任 佐藤有花教諭)

 山県市では小学校でも同様の取り組みを進めていて、将来的には市内すべての小中学校を一つの学園とみなす構想も描いています。

「校長先生がそれぞれ自分たちの教育をやって、その子どもたちが夢中になるような教育があるなら、それはお互いに共有しましょうよという仕組みができたら理想です。この方式をもう少し試しながら、何が良くて何がだめなんだというものをはっきりさせていって、みんなで議論していきたいという風に思います」

(7月19日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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