「ノロノロ北上台風」東海地方での注意点を専門家が解説 線状降水帯へも警戒

2023年8月15日 08:46
紀伊半島に上陸した台風7号について、東海地方の私たちが気を付ける点について、岐阜大学応用気象研究センター吉野純センター長にお話を聞きました。

台風7号は「ノロノロ北上台風」という吉野センター長

 Q.今回の台風7号、特徴はどんなところでしょうか。

 A.台風7号の一番大きな特徴なんですけれども、一言で言えば「ノロノロ北上台風」ということになるかと思います。

 一般的に台風はこの地域に接近すると足早に北東のほうに抜けていくことが多いんですけれども、今回の台風は非常にゆっくりとした速度で列島を縦断するような形になっております。
 ゆっくり進むということになりますのでこの地域の交通とか施設とか物流に大きな影響があるというふうに予想されます。

 Q.台風の目が大きい台風だという話も聞くんですけれども

 A.そうですね。南のほうで発生する台風熱帯低気圧という言葉になるんですけれども、よく発達すると、この映像にあるように目がはっきりと見えてきます。
 こういった目のある台風はこの地域までやって来るということはあまりないんですね。
 そして今回の台風7号ですけれども目をはっきり残したままこの地域に接近・上陸というふうになりました。
 目がある台風の周りには壁雲と呼ばれる非常に活発な積乱雲があります。その活発な積乱雲の下では強い風や雨をもたらすということで、この地域の影響も大きいと想像されます

 

2018年台風との風の比較

名古屋などで長時間にわたり強い風が吹くことが予想
 Q.勢力としては「強い」という言葉が取れましたけれどもそれでも油断はならないというところでしょうか

 A.現在まだ暴風域25メートル以上の暴風域を残している状態になってますので、その半径も非常に大きいですので、強い風の影響というのは広範に及ぶのではないかというふうに予想されます。

 Q.風という点については今後どのように見てますでしょうか

 A.この台風ですが過去の2018年の台風21号とよく似たような進路で関西地方に接近するということになります。
 この時の台風の規模と比較すると今回の台風はそれほど強いものではありません。
 関西空港で58m毎秒というような非常に強い瞬間最大風速になりましたが、今回は陸上で35m、海上で45mということでそれほどの規模ではないということになりますが、先ほど申しましたようにノロノロ台風ということになりますので、名古屋とか長時間にわたって強い風が泳ぐというふうに予想されます。

 Q.2018年の台風21号は関西空港の連絡橋にタンカーが衝突して交通ができなくなったという台風ですね。

 A.広い範囲で非常に強い風、記録的な暴風となりました。今回の台風そこまでの規模ではないんですけれども風にも注意していただきたいと思います。

 Q.2018年には中部空港のセントレアでも最大瞬間風速が46.3mを記録。午前4時42分時点で今回の台風でも中部空港を24.2mの風を記録したんですけれども、これよりもさらに強い風が吹く可能性は十分あるということですか

 A.北上に伴って海上ではもっと風が強くなり、伊勢湾内でも風が強くなるというふうに予想されます。
 屋外での活動とかいうのは非常に危険というふうになってきますので、また風で物が飛んできて窓ガラスが割れたりということも懸念されますので気をつけていただきたいと思います。

 
 

2011年台風もノロノロ台風

紀伊半島での大雨に注意 三重南部から北部 名古屋港にかけて非常に強い風
 Q.それに備えて雨戸を閉めておくシャッターを閉めておく、そして雨戸がない家庭でもカーテンを閉めておくというようなことでも備えというところにはなります。続いて吉野先生雨についてはどうでしょうか。

 A.雨についても過去の台風と似たものがあります。2011年の台風12号ノロノロ台風でした。北上台風だったんですね。

 この台風は高知県の方に上陸した台風になっておりますけれども、ノロノロと進んで紀伊半島では解析雨量で総雨量2000ミリを超えたというような非常に大きな水害をもたらした台風となりました。

 今回の台風ですが、より東海地方近い所を通過することになりますので2000ミリに達するかどうかというと、そこまでにないならないかもしれませんけれども、特に紀伊半島での大雨には気を付けて頂きたいなと思います。

 Q.土砂災害警戒情報なども出ている所がありますので、土砂災害などが起きる可能性十分秘められています。

 A.当時も深層崩壊、大規模な土砂災害が発生しております。また土石流の発生も起こっておりますので、引き続きこの台風でも気をつけていただきたいと思います。

 Q.台風7号が近づいてくるといわれているのがちょうど大潮の時期と重なり高潮にも注意が必要だということですね

 A.ちょうど台風が上陸した時刻になります。まだ台風自体が強い風をもたらしています。
 三重県の南部から北部にかけて、そして名古屋港にかけて非常に強い風が卓越しております。
 特に東から西の風が吹いているということはありますので、三重県沿岸中心に高潮に気をつけていただきたいと思います。特に雨も降って河川も増水している状況になりますので、河口付近では高潮とあいまって水位が高くなりやすいということになりますので特に低い土地の浸水など気をつけていただきたいと思います。

 
 

15日午後11時での風雨の予想

台風が抜けても南の強い風に注意 線状降水帯の可能性も
 Q.今回の台風7号は日本海に抜けても注意が必要だということで、このあとの雨と風の動きがこちらです。
 これが雨と風の動きで、この風が矢印のようになっているのが分かるんですけれども赤だったり黄色くなっていたりとか強い風もずっと吹き続けるということが分かりますね。

 A.そして台風、この時間(午後11時)になりますと、日本海に抜けるということになります。
 離れるということなりますので風は弱くなっていくんですけれども一方で台風に吹き込む南の強い風が東海地方に流れ込むというような形になります。
 非常に湿った空気が流れ込んできますので、それに山に当たることによってですね。場合によっては線状降水帯のような活発な積乱雲が発生する可能性があります。
 特に三重県の西部・山間部や、岐阜県の西部・山間部といったところでは大雨に気をつけていただきたいと思います。

 Q.この線状降水帯の予測が今夜まで気象庁から出されてますけれどももうずっと警戒しなければならないということでしょうか。

 A.線状降水帯はなかなかピンポイントで、時間も含めて予測するというのは難しい現象になっております。
 こういった予報でもかなり活発な雨雲が立ちそうだということで予想されております。
 どこで発生するか、いつ発生するかということは現時点ではっきりとは申し上げられませんけれども引き続きこの時間まで警戒を続けていただきたいなというふうに思います。

(8月15日6:00~放送「ドデスカ!」より)
 

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