新型コロナ感染者、実際は何人? 定点報告から推定値出すシステム 名古屋市立大などの研究チームが開発

2023年8月28日 17:22
お盆明け、新型コロナの感染者は増えています。「5類」に引き下がり、実際の感染者数が報告されなくなった中、名古屋市立大学の研究チームなどが感染者数を独自に推定するサイトを開発しました。
 新型コロナが「5類」に引き下がり、初めての夏となった今年。多くの人が旅行や帰省などで移動しました。

 一方で、新型コロナの最新の感染者数は、定点報告によると、1週間で1医療機関あたり、愛知で25.69人など、東海3県すべてで前の週と比べ増加となっています。

 ただ、感染者数の集計が指定された医療機関による「定点報告」になったことで、実際の感染状況が理解しづらいという指摘もあります。

 そんな懸念を解決してくれるデータを名古屋市立大学などの研究チームが公開しています。

 「定点報告から推定値を割り出しまして、実数があるとしたらこのくらいが出ていますという情報を出して、皆さんに納得した回避行動をしていただけたらなと思って開発した」(名古屋市立大学データサイエンス学部 間辺利江准教授)

 開発されたのは、定点報告数とこれまで集計してきたデータなどを独自の方法で組み合わせ、都道府県別の感染者の全数を推定するものです。

 ウェブサイトでは特に感染者が集中している都道府県を黄色で表示して、注意を呼びかけます。

 「(今後は)流行予測を一緒に組み立て合体させたいなと思っております。皆さんの感染防御とかリスクの高い人は重症化防御とか、そういうところに役立てていただきたいので、(状況が)落ち着くまではずっと発信する予定」(名古屋市立大学 間辺准教授)
 

公立陶生病院 武藤義和医師

「すぐに検査してしっかり休んで」
 医療現場の状況を、愛知県瀬戸市の公立陶生病院の武藤義和医師に聞きました。

 「保健所単位で考えますと、全体では25ですけど、たとえば当院のある瀬戸保健所管轄は43人を見てますし、ほかの地域も40を超えるところもありますので、かなり地域差はあるんですが、全体としてはやっぱり、そのぐらい高くなるというふうに考えてもらっていいんじゃないかなと思いますね」(公立陶生病院 武藤義和医師)

 県内の状況を見てみると、県全体では25.69ですが、衣浦東部では48.08、新城で46.50、瀬戸で43.78となっています。

 また、現在の愛知県内の新型コロナの病床使用率は67.4%と、ひっ迫した状態です。

 「お盆前後で一気に加速したという感じで、第8波のピークと同等のレベルというふうに考えられます。いわゆる重症の方が入院するというのは、ほとんどなくなっていて、多くの場合はそういう身寄りがないとかで、診てくれる人がいないような方などが中心になっています」(公立陶生病院 武藤義和医師)

 軽症者が多く入院すると、重症者や基礎疾患のある人たちを受け入れることができなくなってしまいます。

 まもなく新学期。あらためて注意点を聞きました。

 「やっぱりまだ感染が落ち着いていない状況では、そういった人が集まる場所が増えてくると、そこで集団発生が出る可能性というのはやっぱり上がってくると思います。人に移さないような、広げないという感染対策を意識していただくのが、大事かなとは思っています。一番大事なのはやっぱり、のどが痛いな、熱があるなと思ったらすぐに検査をして応じてしっかり休むこと。自分を守りながらみんなを守るという考え方をするのが、いいんじゃないかなと思う」(公立陶生病院 武藤義和医師)
 

東海3県の新型コロナ感染者数(システムによる推定値)

東海3県の感染者数の推定値は?
 名古屋市立大学などの研究チームが公開したデータをもとにした、現在の新型コロナ感染者数は、以下の通りです。

 愛知県は、直近の1週間の感染者数(推定値)が約4万3千人。1月3週目の水準で、当時は1日に2千人から1万人を超える感染者が確認されていた時期です。

 岐阜県は、直近の1週間の感染者数(推定値)が約1万7千人。1月2週目の水準で、当時は1日に1500人から5千人を超える感染者が確認されていた時期です。

 三重県は、直近の1週間の感染者数(推定値)が約7千6百人。1月5週目の水準で、当時は1日に約400人から1400人の感染者が確認されていた時期です。

(8月28日15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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