現役消防士が作るこだわりの地ビール 「“美濃加茂”を発信したい」売上の一部は地域貢献に活用 岐阜

2024年2月21日 13:47
岐阜県美濃加茂市で製造、販売されている「美濃加茂ビール」。作っているのは消防士です。クラフトビール作りに込める地元への思いとは?

美濃加茂ビール

 ここ最近、クラフトビール、いわゆる地ビールがブームとなっています。

 名古屋市名東区にある「ヤギサケテン」では日本全国のクラフトビール100種類を取り扱っていて、平日にもクラフトビールを求めてファンが訪れます。


「普通のビールにはない個性がある。そういった感じではまった」(40代男性客)
「ブルワーさん(醸造所)の思いとか詰まっていて、おいしいだけでなく、後ろにあるストーリーとかも楽しくて」(40代女性客)
 

国内で稼働しているクラフトビール醸造所の推移(日本地ビール協会調べ)

醸造所の数は6年で約2倍に
 酒税法が改正され「地ビール」が解禁されてから今年で30年。

 さまざまな「地ビール」を楽しめるようになってきました。

「1994年に始まったクラフトビールの歴史の中で、一番大きな盛り上がりを見せているとみている」(日本地ビール協会 山本祐輔理事長)

 日本地ビール協会によりますと、国内で稼働しているクラフトビール、いわゆる地ビールの醸造所は過去6年間で約2倍の766カ所に増えています。
 

仙田大騎さん

元々はビール好きがきっかけ
 去年3月にオープンした岐阜県美濃加茂市にある「美濃加茂ビール」。

 立ち上げた仙田大騎さんは岐阜県可児市出身で、美濃加茂市内の高校に通っていました。

「クラフトビールは地域の特産品と親和性が高くて、そこでしか飲めないビールが飲めたりとかそこの特産品を活用することができるので、このクラフトビールで地域の活性化をやってみたいと思った」(美濃加茂ビール 仙田大騎さん)

 元々ビール好きの仙田さんは、可児市や美濃加茂市を盛り上げようと、営利を目的としない一般社団法人を立ち上げました。
 

仙田さんの本職は消防士

公益性が高いことなどから犬山市は副業を許可
 本職は愛知県犬山市の「消防士」という仙田さん。

 犬山市は地域貢献ができて公益性が高いことや休日を利用していること、また、無報酬で行うことから副業を認めました。

 市によりますと、市の職員で事業を一から立ち上げて副業を申請したのは、仙田さんが初めてだということです。
 

美濃加茂市の特産品「ハチミツ」を使う

地元産のハチミツをビールに
 「地ビール作り」のこだわりは地元の特産品「ハチミツ」などを新しい形で活用すること。

 ビールの味を調整する副原料に糖度が足りず商品として売り出すことができなかったハチミツを使い、美濃加茂ビールはフードロス削減にも貢献しています。

 糖度が78度を下回るとハチミツとして売ることができないため、これまでは化粧品の原料に使ったり、冬を越すための栄養としてハチに戻したりしていました。

「最初はハチミツとビールって合うのかなと思っていたが、仙田さんがうまくうちのハチミツを使っていただいて、ビールが苦手な方でもおいしく飲めるビールをつくってもらって感謝している」(藤井養蜂 藤井健人さん)
 

美濃加茂ビールでは4種類ほどを製造・販売

売り上げの一部はこども食堂の支援などへ
 売り上げの一部は地域貢献にも役立てています。

 去年8月には市内の花火大会の協賛金に使い、ことしは可児市や美濃加茂市のこども食堂への支援を予定しています。

 こうした取り組みについて客は――

「その情熱ですよね。クラフトビールがすごく好きだということで、行動に移されるのはすごいと思う」(60代男性客)
「地球にやさしく、人にやさしく、飲む人にやさしく。いいと思う」(50代男性)
「美濃加茂市の味がこんなにおいしいビールになるのは地元の人間としてはうれしい」(40代男性)

 現在、製造・販売するビールは「ハチミツ」や「梨」のビールに加えて期間限定の商品を含めて4種類ほど。
 

「み組の火消し」をデザインに

ラベルは「み組の火消し」がデザインに
 瓶のラベルは、古い街並みが残る中山道の太田宿に消防士のイメージを重ねました。美濃加茂市の「み」を背景に「み組の火消し」をデザインに。

「昔の火消しが守って来た街並みを僕が現代の火消しとして、火を消して守っていくわけではないが、ビールづくりで盛り上げていけたら」(仙田さん)

 特徴は「ナチュラルカーボネーション」という作り方です。

 発酵の段階で、ビール酵母が作りだす炭酸をそのままビールに閉じ込め、きめ細かな泡ができます。炭酸ガスを注入しないため、二酸化炭素を減らすことができます。

 作り方にもこだわったビールの味は――

「ハチミツの香りがします。苦みが少なくて甘みがあってとても飲みやすい」(記者)
 

ハチミツを使った「蜂蜜ゴールデンエール」

仙田さん「美濃加茂を発信していけたら」
 ビールの仕込みは1週間に1回程度で、消防士との両立で忙しいときもありますが楽しさの方が勝っていると言います。

 その一方で経営の難しさも――

「消防の仕事とはかけ離れた、自分では今まで経験したことないことだったので、そういう面でなかなかわからないことばかりで難しいと思っている」(仙田さん)

 まもなくオープンから1年、これからもおいしいビールをつくり続けることで美濃加茂を発信したいといいます。

「地域の方々で美濃加茂を元気にしようと頑張っていらっしゃる方々がいっぱいいるので、そういう方々の支援をどんどんしていきたいし、美濃加茂ビールを知ってもらうことで美濃加茂市にクラフトビールが好きな人が来てくれているので、美濃加茂を発信していけたら」(仙田さん)

(2月20日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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