「いちご道場」に“入門”した元小学校教師 農家転身のワケは「家族と過ごせる時間を増やしたい」 愛知
2024年6月8日 08:01
全国的に農業の担い手が減少している中で、小学校の教師を辞めて6月からイチゴ農家に転身した男性が愛知県愛西市にいます。
成田俊介さん(画像提供:JAあいち海部)
「2人目の子どもが生まれて、家族とより一緒に過ごせる道を探していた」と話す元小学校教師の成田俊介さん(34)。
もともと植物を育てるのが好きだったこともあって農業の道へ。JAあいち海部が募集していた新規就農支援事業「いちご道場」の第一期生となり、おととしの6月から2年間をかけて愛西市のイチゴ農家10軒での実習や資金調達に必要な知識や手続きなどを学びました。
「苦労したのは収穫の時です。どのイチゴを摘んでいいのか、なかなか見極められずに時間がかかりました」。実習先のイチゴ農家の人たちが手早く収穫していく様子に圧倒されたと言います。
もともと植物を育てるのが好きだったこともあって農業の道へ。JAあいち海部が募集していた新規就農支援事業「いちご道場」の第一期生となり、おととしの6月から2年間をかけて愛西市のイチゴ農家10軒での実習や資金調達に必要な知識や手続きなどを学びました。
「苦労したのは収穫の時です。どのイチゴを摘んでいいのか、なかなか見極められずに時間がかかりました」。実習先のイチゴ農家の人たちが手早く収穫していく様子に圧倒されたと言います。
イチゴ(画像提供:JAあいち海部)
新規就農を阻むハードル
実は愛知県は全国有数のイチゴの産地で、そのなかで愛西市は県内の主要産地の1つですが、ほかの地方と同じく「農業の担い手の高齢化」問題を抱えています。JAあいち海部の「あまイチゴ組合」には62軒が所属していますが、直近のアンケート調査に基づいたシミュレーションでは、10年後には半減する可能性が出ています。産地としての存在感を維持するためにも新たな担い手の確保が求められる中、愛西市と津島市で新規にイチゴ農家を目指す人たちの助けとなるべく「いちご道場」は設立されました。
イチゴに限らず、新規就農者のハードルの1つとなるのが高額な設備費用です。JAあいち海部の担当者によると、イチゴ農家として新規に就農するためには土地代を別として一般に設備投資に5千万円から6千万円ほどの費用がかかります。「いちご道場」では行政への補助金の申請や農地の確保を手伝うなどしました。成田さんも設備を中古品でそろえるなどして「だいぶ抑えられた」と言います。
イチゴに限らず、新規就農者のハードルの1つとなるのが高額な設備費用です。JAあいち海部の担当者によると、イチゴ農家として新規に就農するためには土地代を別として一般に設備投資に5千万円から6千万円ほどの費用がかかります。「いちご道場」では行政への補助金の申請や農地の確保を手伝うなどしました。成田さんも設備を中古品でそろえるなどして「だいぶ抑えられた」と言います。
研修に励む成田さん(画面右、画像提供:JAあいち海部)
収入ゼロに苛まれることも…
道場の”門下生”となり、愛知県蟹江町から愛西市に引っ越した成田さん。覚悟した道とはいえ、研修の前や研修中、収入が途絶えたことにより不安になったこともあったそうです。それでも「農家の方がイキイキと作業している様子」を見て、経済的な不安をぬぐうことができたと言います。JAあいち海部によると、イチゴは平均単価が高く、人気果実ゆえに安定した販売が見込めるうえ、収穫期が11月から5月と長いため長期間の収入が見込めると言います。
卒業の記念品を受け取る成田さん
2年の研修を糧にいざ
成田さんの師匠にあたる存在と言えるのが、ともに愛西市で40年ほどイチゴの栽培を続けている加藤公典さん(62)と藤松豊和さん(61)の2人です。農業への心構えに始まり、病害虫をいち早く見つけるための観察眼の養い方といった実践的な技術まで指導しました。加藤さんは「地域にイチゴ農家の後継者ができてうれしい」、藤松さんも「早く家族を立派に養える農家になってほしい」と成田さんの成長に期待しています。
6月6日、JAあいち海部で「いちご道場」第一期生として卒業のあいさつに臨んだ成田さんは「2年間の研修を思い出して大きな失敗をしないよう頑張ります」と今後の意気込みを語りました。
6月6日、JAあいち海部で「いちご道場」第一期生として卒業のあいさつに臨んだ成田さんは「2年間の研修を思い出して大きな失敗をしないよう頑張ります」と今後の意気込みを語りました。
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