お手頃な「公営プール」全国で減少 老朽化で自治体に重い負担、高山市ではリニューアルも

2024年7月16日 19:42
もうすぐ夏休み、水遊びが楽しいシーズンを迎えます。中でも行政が運営する「公営プール」は、手ごろな利用料金で楽しめるとあって人気を集めていますが、その数が全国的に減り続けています。背景には、何があるのでしょうか。
 13日の土曜日、最高気温が30度を超える「真夏日」となった岐阜県高山市では、市民プールがリニューアルオープンしました。

 1972年にオープンした、高山市の市民プール。約50年にわたって市民に親しまれていましたが、施設の老朽化の影響で、去年8月に営業を一時終了。改修工事を経て、この日を迎えました。

 「皆さんで楽しめる場を、高山市につくっていきたいという思いで、今回リニューアルしました。こういう大きなプールが飛騨にはないので、残していこうと。家族ですごせる場所をつくっていきたい」(高山市 市民活動部 西永勝己部長)
 

プールの再整備費用は約4億3000万円(隣接する公園も含む)

「子どもが来やすい雰囲気でうれしい」
 市民プールの再整備には、隣接する公園と合わせて約4億3000万円をかけました。

 太陽熱で水を温める仕組みを取り入れ、快適な水温を維持することができるように。

 「めちゃくちゃ楽しい。予想以上に楽しい」(利用者)

 「およげて、たのしい」(利用者)

 「昔も利用していたんですけど、すごく雰囲気が明るくなって、子どもが来やすい雰囲気でうれしいです」(利用者)
 

高山市の市民プールで楽しむ子ども

魅力はリーズナブルな料金
 「子ども100円だし、大人400円でリーズナブルでうれしい」(利用者)

 利用者にとってありがたいのは、その料金。

 公営ということもあり、大人は400円、高校生以下は100円で楽しむことができます。
 

高山市の西永勝己・市民活動部長

「公営プール」は減少傾向に…
 「太陽の下で思いっきり体を動かして、楽しんでもらうことが、皆さんの暮らしの幸せにつながるのではないかと思い、公営でもプールをやっていこうとしている」(西永部長)

 市民にとってありがたい存在の「公営プール」ですが、全国的にも、その数は減少傾向にあるといいます。
 

「豊山スカイプール」は今夏を最後に廃止へ

自治体が直面する「老朽化」問題
 1991年にオープンした町営の「豊山スカイプール」。

 夏限定の屋外プールで、町内・町外とわず、家族連れなどに人気です。

 去年、おととしは2年連続で5万人以上が訪れましたが、オープンから30年以上が経ったいま、施設は“老朽化問題”に直面しています。

 修繕に3億円以上かかることなどから、豊山町はこの夏を最後に廃止する方針です。
 

公営プールの廃止は、全国で相次いでいる

全国の公営プール、10年で500か所消える
 Q.豊山スカイプールは普段から利用する?
 「ちょこちょこ。今年は初めてです」(名古屋市からの利用客)
 Q.ちょこちょことは、どれくらい
 「子どもが好きなので、週に2~3回。好きなので子どもも…ちょっと寂しい」

 「こういう施設もなくなってきている。ウォータースライダーがあるところはないので、安いし、ちょっと残念」(犬山市からの利用客)

 公営プールの廃止は、全国で相次いでいます。

 総務省の集計によると、10年で500か所以上がなくなっています。
 

公共施設のマネジメントに詳しいデロイト トーマツの小室将雄さん

大きな曲がり角に
 愛知県でも令和に入ってから、豊川市や豊橋市で、市が運営するプールが廃止されました。

 姿を消しつつある、公営プール。

 こうした現状について、公共施設のマネジメントなどに詳しい専門家は――。

 「公共施設がプールだけでなく、他の施設も同じように古くなってきているなかで、市役所の庁舎や小中学校など、必ず必要となる施設があるが、公営プールは本当に必要な施設かどうかというと、必ずしもそうではない部類に入ってくる施設。建て替えて必要になるかどうかは、自治体で施設のあり方を改めて考えていかないといけない時期にある」(デロイト トーマツ リスクアドバイザリーパートナー 小室将雄さん)

 夏のレジャー、「公営プール」が、大きな曲がり角にきています。
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中