南海トラフ巨大地震「可能性なくなったと誤解しないで」 専門家、引き続き地震への備えを呼びかけ

2024年8月15日 19:38
南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」の呼びかけが、15日午後5時に終了しました。気象庁の南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会委員を務める横田崇・愛知工業大教授に話を聞きました。

横田崇・愛知工業大教授

 Q:「解除」ではなく「呼びかけ終了」というのはどのような意味でしょう。

 「南海トラフの巨大地震が発生するリスクは下がっていません。従って解除ができないので、『巨大地震注意』についての呼びかけを1週間で終了したということになります」

 Q:気象庁が先週、「巨大地震の可能性が数倍になった」としましたが、その可能性が低くなったわけではない?

 「モーメントマグニチュード7.0の地震が発生し、普段よりも数倍程度、可能性が高くなった。それを機に呼びかけをしたわけです。この確率は徐々に下がっていくのですが、まだ依然として高い状態にあることは変わらない。今後も南海トラフの巨大地震がいつ発生するか分かりませんから、そういう意味で確率が少なくなったとかその可能性がなくなったとか、誤解しないようにしてください」

 Q:引き続き注意を続けるということですね。では今後どのように過ごしていけばいいでしょうか。

 「南海トラフの巨大地震に対して日頃から備えをしっかりやっていこうと。予知はできませんので、いつ地震が発生してもいいように準備をしっかりしておくことが大切です。今回の臨時情報が出たことで、改めて南海トラフ巨大地震に対する備えの確認をしてもらう。まだ十分備えられていなかった人は、これを機会にきちっと備えてもらうということが大事だと思います」

 Q:南海トラフ地震の評価検討会委員として、今回初めて臨時情報を出したことについてどう評価していますか。

 「臨時情報の認知度が低いと言われていますが、今回初めて情報が出て皆さんに認知いただいたことは一番大きかったと思います。多少混乱が見られたところはありますが、初めてのことですから、改めてその部分を反省しながら、より適切に南海トラフ巨大地震への備えが進んでいくきっかけになればと思います」
 

津波時に高台への避難を呼びかける三重県紀北町の海水浴場

「地震を迎え撃つつもりで準備を」
 Q:神奈川県でも地震がありましたが、どう捉えたらいいですか。

 「今回神奈川で起きた地震は、日向灘と遠く離れていますから、直接的な関係はないと思っています。南海トラフは巨大なエリアでひずみをためていて、震源域やその周辺で地震を起こすことは十分ありうることです。いつどこで地震が起こるか分からない日本ですから、南海トラフの震源域やその周辺だけでなく、それぞれの地域で直下地震が起こることにも注意していただくことが大切だと思います」

 Q:呼びかけの期間もそうでしたが、これからも何かを自粛するのではなく、意識を高めて普段通り生活するということですね。

 「そうです。南海トラフの巨大地震を迎え撃つんだというつもりで、しっかり地震への備えをしていただければと思います」
 

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